「ああ、起きるくらい自分でしろよな。全く。」——新年の朝、結婚3日目の夫が私の車椅子を押すのを面倒くさそうに拒んだ瞬間、私の世界は音を立てて崩れ始めた。次の瞬間、義両親からは完全に無視され、私の分だけ用意されていないおせち料理。3人は私を「車椅子の分際」と呼び、離婚届を突きつけた。2年間、私は彼らにいない人間として扱われ続けた。夫は目の前で浮気電話をし、義父母は毎日嫌がらせをして笑っていた。…

「ああ、起きるくらい自分でしろよな。全く。」——新年の朝、結婚3日目の夫が私の車椅子を押すのを面倒くさそうに拒んだ瞬間、私の世界は音を立てて崩れ始めた。次の瞬間、義両親からは完全に無視され、私の分だけ用意されていないおせち料理。3人は私を「車椅子の分際」と呼び、離婚届を突きつけた。2年間、私は彼らにいない人間として扱われ続けた。夫は目の前で浮気電話をし、義父母は毎日嫌がらせをして笑っていた。...

私は高校生の頃、部活帰りの交通事故で下半身不随になった。それまで運動が得意で友達も多かった私の人生は、一瞬で暗いものへと変わった。塞ぎ込んで友達付き合いも避けるようになり、車椅子での生活を受け入れるまでに長い時間がかかった。

転機が訪れたのは30代に入ってから。父の付き添いで地元の市議会議員の初当選祝賀会に行った時のことだ。そこで出会ったのが、当選したばかりの正彦だった。彼は車椅子の私を見るなり、こう言った。

「あなたのような不自由な生活を送っている方が暮らしやすい街づくりが目標です。その前に、私が個人的にあなたの生活を支えたい。結婚を前提に付き合ってください」

事故以来、自分に市議の妻など務まるはずがないと思っていた。しかし正彦は「それでも構わない」と言ってくれた。私は彼の熱意に押され、結婚を決意した。

結婚式は12月30日。夫の誕生日だった。私は不安を抱えながらも、幸せな結婚生活を夢見ていた。

しかし、その夢は3日目で打ち砕かれた。

新年の1月1日。私は朝、隣で寝ていた夫に起き上がりの介助を頼んだ。すると夫はわざとらしい大きなため息をつき、眉間にしわを寄せて言った。

「ああ、起きるくらい自分でしろよな。全く。」

その態度に驚いた。結婚前はあんなに優しかったのに。私は気持ちを切り替え、食卓へ向かった。

そこでも異変は続いた。義父に新年の挨拶をしても、新聞を読んだまま無視された。義母も、絶対に気づいているはずなのに知らぬ顔でお雑煮をかき混ぜている。そして、食卓には豪華なおせち料理が並んでいたが、私の分だけ用意されていなかった。

「あら、あなたの分はないわよ。食べたいなら自分で出前でも取って食べたらいいじゃない。私はあなたの世話係じゃないの」

私は何かしたのかと尋ねた。すると夫がイライラした様子で言った。

「お前の両親のこと調べさせてもらっていた。そしたらなんだよ。お前の親、全然金持ちじゃないじゃないか」

「え?どういうこと?私の両親が資産家だなんて話、一度もしたことありません」

私の両親は町で小さな電気店を経営しているだけの普通の家庭だ。だが夫は鼻で笑った。

「お前の実家、庭付きの一戸建てに高級車も2台もあるじゃないか。それを見れば資産家だと思うだろう。なのによく調べてみればただの街の電気屋ときた。見栄を張るためにいくら借金してるんだ?」

「あれは借金して買ったものじゃありません。それは…」

事情を説明しようとしたが、その前に夫は私の前に信じられないものを突きつけた。離婚届だった。夫の名前がすでに記入済みの。

「これ、俺の方は書いておいた。あとはお前だけだ」

義父も追い打ちをかける。

「全く、何のために息子があんたと結婚したのか分からないな。ただの電気屋ではお前の将来に何の役にも立たない」

私は頭が真っ白になり、そのまま部屋に帰って号泣した。夫の誠意あるプロポーズも、すべては選挙資金のためだったのか。そう思うと悲しみよりも絶望が勝った。しかし、結婚してまだ3日。新年早々離婚と聞けば、事故以来ずっと私を心配してくれた両親がどれほど悲しむだろうか。私は我慢することを選んだ。

夫も、クリーンなイメージが大事な議員が結婚3日で離婚となれば世間体が悪いと判断したらしく、離婚はひとまず保留となった。そして、私の地獄の日々が始まった。

私が何を話しかけても、夫も義両親も完全に無視した。さらに夫は「弓」という女性と頻繁に連絡を取り合うようになり、私の目の前で堂々と親密な電話をするようになった。

一度だけ抗議したが、夫は言い放った。

「浮気の何が悪いんだよ。お前には愛情なんて初めからないんだからいいじゃないか。離婚が保留になってるだけマシだろ。文句を言うな」

ある日、私は偶然、夫と義母の恐ろしい会話を聞いてしまった。

「あいつ、車椅子の分際で偉そうなんだよ。本当にうんざりだよな」

「本当にそうね。早く新しい奥さんを連れてくればいいわ。そうしたらあの女を追い出せばいいの。その頃にはもうあなたのキャリアに傷はつかないわ」

「そうだよな。早く弓を口説いて紹介するよ。彼女は市役所で働いてるんだけど、親は結構金持ちらしいんだ」

「車椅子の分際」。その言葉を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立った。私からしたら、私はただの「車椅子の分際」であり、夫の選挙に役立たない「障害者」でしかなかったのだ。私の尊厳は完全に壊された。

それからも彼らの嫌がらせは続いた。リビングへの通路にわざと箱を置いて通れなくする。私が必要なものを高い場所に置いて届かないようにして楽しむ。キッチンでコーヒーを入れようとすると、冷蔵庫のドアで出入り口を塞いで笑っている。最終的には、私をいない人間のように扱い、徹底的に無視した。

私は心を痛める日々の中で、次第にある思いが芽生えた。夫と義両親はもう人間ではない。私の人生を壊す悪魔だ。車椅子の私にできることは限られているかもしれないが、あの悪魔たちを絶対に許すわけにはいかない。私は3人の悪魔を必ず制裁し、この家から必ず脱出して見せると誓った。

無視され続ける生活は2年が経過しようとしていた。2年。730日。その間、私は一度もまともに話しかけられなかった。

結婚記念日のことだ。彼らが記念日を忘れているのは明らかだったが、私はあえてこの日を祝おうと、特上の握り寿司を出前していた。それは、いけすの大将に「結婚記念日なので」と頼んで握ってもらった特別なものだった。私は精一杯の作り笑いで彼らを持てなした。

「今日は私と正彦さんの結婚記念日です。日頃お世話になっている私からのせめてものお礼として、皆さんの大好きなお寿司をご馳走させていただきます」

しかし3人はいつも通り私を無視した。それどころか、義母はすぐに別の寿司屋から出前を取ると、私の用意した寿司を隅に追いやってしまった。そして、目の前で楽しそうに酒を酌み交わし、大口を開けて別の寿司を食べ始めた。

「いやあ、うまそうな寿司だな。そうだ、正彦、たまには一緒に酒でも飲もう」

「このお寿司は、正彦が今度こそいいお嫁さんを迎えられるようにという願いを込めたものよ」

私はその光景を見て、密かに口元がほころんでいた。さすが悪魔はやることが違うなと思いながら、こう心の中で呟いた。今に見ていろ。こんな風に楽しそうにしていられるのも、今のうちだけだ。

3日後、ちょうど無視されて2年が経った日。私は誰にも何も告げず、事情を話していた両親の力を借りて、幽霊のように静かに家を出た。そして、その足で市役所に離婚届を提出した。

それから半年が過ぎた。私は朝からパソコンで作業をしていた。するとスマホが鳴った。見ると、電話帳に登録していない番号からの着信だったが、私はその番号に見覚えがあった。以前は登録していたからだ。

ああ、正彦か。私はもはや出るつもりはなかった。スマホを布団の奥にしまい、私がされてきたように完全に無視を決め込んだ。

しかし、一向に振動が止まらない。時計を見ると、最初の着信からなんと5時間も経っていた。さすがに鬱陶しくなり、私は電話に出た。

「あ、有沙か。なんですぐ出ないんだよ。何時間かけてると思ってんだ」

「要件は?」

「俺を助けてくれ」

やはり、元夫の正彦だった。彼はひどく慌てた様子で、今にも泣き出しそうな声だった。しかし、2年間も私を無視してきた男が急に「助けてくれ」と来た。都合が良すぎるではないか。私は興味半分で話を続けることにした。

「何があったの?」

「俺の公園会長主催の食事会に招待されて、今弓と一緒に会場に来ているんだ」

なるほど。あの浮気女とまだ続いていたのか。

「それで会長に弓を新しい妻だと言って紹介したんだが…」

正彦はそこで言葉を詰まらせた。何か言いたいが言い出せないのだろう。妙な沈黙が流れた。

「要件を早く言ってくれませんか?私も忙しいの」

「お、お前…どうして今まで隠していたんだよ」

慌てていた声が急に静かになる。彼の口調が変わった。

「何だよ、お前。もしかして有名な漫画家なのか?」

彼の言葉で、私はバレたのだと思った。そう、実は私は20代の頃からずっと漫画を描いていた。事故で塞ぎ込んでいた自分を何とか変えようと、机でできることを探した結果、パソコンで漫画を描き始めたのだ。その漫画をSNSに公開していたところ、大手出版社の担当者の目に留まり、私は漫画家デビューを果たした。そして今では、中高生の女子を中心に人気を集めている。

「ええ。そうよ。私は今まで隠してきた真実を、あっけらかんと答えた」

すると正彦は急に怒り出した。

「どうして今まで黙っていたんだ?俺と結婚していた時も、あの部屋で漫画を書いていたんだろう」

確かに、最初はイメージが大事な議員の妻が漫画家だと知られたら迷惑になると思って黙っていた。しかし今は、彼に気遣う優しさなど微塵も持ち合わせていなかった。

「あら、あの家の方々はみんな無口な人が多かったじゃない。話しても言葉が通じるか分からなかったから、無駄だと思ったの」

私はこれまで無視されてきたことへの皮肉をたっぷり込めて言った。本当に、言葉が通じない悪魔たちだったのだから。

「そんなこと言うなよ。あの時は別にそんなつもりじゃ…」

「だから今、言葉が通じて驚いているくらい。それで、あの弓って人を会長に紹介したことと、私と何の関係があるのかしら?」

正彦は渋々ながら本題を切り出した。

「その会長の孫娘、ナって言うんだけど…」

「あら、ナちゃん知ってるわ。久しぶりね。まさか公園会長の孫娘だとは知らなかったけどね」

ナは高校生で、私のファンミーティングに何度も参加してくれていた。顔はよく知っていた。

「俺が会長に弓を紹介すると、その孫娘のナが言うんだよ。『有沙先生じゃないの?』ってな」

なるほど。思い出した。ファンミーティングの質問コーナーで「結婚しているのか」と聞かれたことがあった。私は一応結婚していると答え、ファンが熱心に相手を尋ねるので、「ミーティング内だけの秘密」という約束で正彦の名前を出したことがあるのだ。それをナが覚えていて、会長に話したのだろう。

「会長からも『お前が出席すると期待して孫娘を連れてきたのに』って、ひどくがっかりされてよ。俺の面目丸つぶれなんだよ。大体、お前がそこまで売れてる漫画家だって知ってたら、初めから離婚しなかったんだ」

「あら、残念でしたね。おかげ様で結構稼がせてもらってるわ」

確かに、私は漫画でかなりの収入を得ていた。両親が住む庭付きの一戸建ても高級車も、私が漫画で稼いだお金でプレゼントしたものだ。事故で絶望していた私を救ってくれた両親への恩返しだった。正彦はそんな私の財産を、自分の出世と欲望のためだけに利用しようと考えていたのだ。考えるほど、こいつは本当にくだらない男だと思う。

「せっかくあの弓とかいう女の方がお金持ちだと思っていたのにね。もう一度結婚した方が早いんじゃないかしら。ベッドにお札を敷き詰めて、毎日抱いて寝ればいいんだわ」

「あ、あの時は悪かった。頼むから俺を助けてくれ」

正彦は必死にすがってくる。

「お前に弓の代わりにこの会場に来て欲しいんだ」

「私に?そんなすぐに行けないわよ」

「分かった。じゃあリモートでいいから顔出してくれよ。弓は適当な理由をつけてさっき追い返した。お前の顔をナに見せて、離婚はドッキリだったってことにしような」

なるほど。それが彼の狙いか。どこまでも自分のことしか考えていない愚か者だ。

私は思った。いつか公開しようと思っていた自作の漫画がある。今、正彦がいるのは多くの講演会関係者が集まる食事会場。あの漫画を披露するには絶好の機会ではないだろうか。

「分かったわ。じゃあ、早速紹介してくれるかしら」

「本当か?助かるよ。やっぱりお前に連絡してよかった。これで公園会長に顔が立つし、お前の漫画で稼いだ大金がこれからの選挙資金にもなるわけだ」

正彦がリモートの準備をしている間、私はとある漫画の投稿を準備していた。やがて、正彦の合図とともに、私はリモートで食事会場とつながった。会場は大勢の人で賑わっており、皆が拍手で私を迎えてくれる。義父母もその会場にいるようで、正彦を含めた3人だけが浮かない顔をしていた。

今に見ていろ。これから3人の悪魔を一気に浄化してやる。

私は赤年の恨みを晴らせるこの機会を楽しむことにした。

「皆さん、いつも私を応援してくださり、本当にありがとうございます。このような場を設けていただき、感謝しています。ナちゃん、久しぶりね。元気でしたか?」

ナは大喜びで手を振って応えてくれる。私は話を続けた。

「今、私の新作の漫画をいくつかSNSにて更新しました。今回の漫画は、私のこれまでの漫画家生活を振り返った実体験となっています。早速、読んでみてください」

そう言うと、ナは一番にスマホを取り出して漫画を読み始めた。他の人たちも次々にスマホを手に取り、私の漫画を読んでいく。

すると、さっきまで賑やかで楽しそうだった会場が、急にざわざわと不穏な雰囲気に変わっていった。

「何これ…ひどい」

ナが声をあげ、泣きながら祖父である公園会長に抱きついた。会場にいる全ての人の視線が、3人の悪魔に向けられていく。私はリモート越しでも、その異様な空気が面白くて仕方がなかった。

私が公開した漫画とは、これまで私が3人から「車椅子の分際」と呼ばれ無視され続けたこと、そして夫が堂々と不倫を繰り返す姿を克明に描いたものだった。あの日、私が頼んだ寿司を隅に追いやられた光景も、全部描いてあった。いつかこの漫画が日の目を見る時を、私はずっと夢見ていた。ただ公開するだけでも効果はあっただろう。しかし、あの悪魔たちを一番苦しめられるタイミングで公開したかったのだ。そして今、その最高のタイミングが訪れた。

「あんたたち、この漫画に書いてあることは全部事実なんですか?」

3人に一番敵意を向けていたのは、公園会長の食事会を長年支えてきたという寿司屋の大将だった。

「これは事実無根だ。嘘を大げさに書いているんだ」

正彦が必死に取り繕おうとする。

「こ、これは…こんなことあるわけがない」

義父もとぼけようとするがうまくいかず、汗を拭っていた。義母は両手で顔を覆ってうつむいている。

「あんたと漫画家先生の結婚記念日を祝おうと、私はあの寿司をわざわざ握らせてもらったんだ。それなのに、あんたたちはあの漫画家先生を無視するばかりか、私の寿司も邪魔そうに隅に追いやりやがって」

「いや、あのですね、決して大将の寿司を…」

正彦はドロドロになって、顔色は青ざめていく。

「それに一番腹が立つのは、障害を持った人に対するあんたたちの態度だ。『車椅子の分際』?ふざけるな」

大将の声は震えていた。

「実はなあ、うちの娘もなあ、障害を抱えてんだ。そんな娘をいつも励ましてくれたのが、あの先生の作品なんだぞ」

3人は針のむしろ状態で、何も言い返せずに小さくなって固まっていた。

「あんた方には失望しました。障害を持つ人間にとって暮らしやすい街づくりなんて綺麗事を抜かしやがって。車椅子の分際はあんたたちの方だ。もうあんたたちの支援を受けることは二度とないでしょう。失礼する」

そう言って、大将は席を立って会場を後にした。

「待ってください。これは何かの間違いだ。誤解なんです。どうか話を聞いてください」

正彦は必死に追いかけようとする。しかし、突然、会場に屈強な男たちが現れ、正彦を取り囲んだ。

「な、なんだ君たちは?」

「先生、ここにいましたか?弓さんがどうやらホストクラブに多額の金を注ぎ込んでいたようなのです。だから、先生が代わりにその借金を返してもらえませんでしょうかね」

絵に描いたような借金取りが、そう言った。

「ど、どうして私が…。弓に払わせればいいだろう。私には関係ないことだ」

「それができないから、先生のところに来たんでしょうが。先生は連帯保証人の欄に名前を書いているんですからね」

「ま、払えないのなら、一度私どもの事務所に来てもらいましょう」

正彦の顔色は、生きている人間とは思えないほど悪くなっていた。複数の男たちが正彦の両腕を掴み、外に連れて行こうとする。

「ま、待ってくれ。私はもうあの女とは関係ないんだ」

「うるせえ。ガタガタ言うな」

「頼む、有沙、俺を助けてくれ。こんなことが大きくなれば、俺の議員人生が…」

正彦の情けない叫びが会場に響いていた。義父母も何もできずに、ただ息子を見つめている。

「ごめんなさいね。私は今、日本にはいないの」

私は机のそばにあるカーテンを開け、眩しい朝日を目一杯取り込んだ。私の国はとても良い天気で、朝日が気持ちいい。

「皆さん、日本は夜ですか?私の国はとても良い天気で、朝日が気持ちいいですよ。ほら」

悪魔の3人にはとても耐えられないであろう、眩しくて明るい未来の光を、私は全身で浴びた。

その後も正彦からはしつこく連絡があったが、私はその全てを無視した。自分だって2年近くも無視していたのだから、当たり前のことだ。こうして私は、悪魔たちから虐げられていた辛い結婚生活の仇を完全に返すことができた。

それからしばらくして、弓がホストクラブで使い込んだ借金の返済のために自らナイトクラブで働き、そこで違法な副業をしていたことが週刊誌に報じられた。当然、その記事には夫である元市議の正彦の顔と名前も大きく掲載された。あの食事会での私の告発が原因で、ただでさえ議員としての地位が危うくなっていた正彦は、弓のスキャンダルで完全に止めを刺された形になった。公園会長を始めとする支持者だけでなく、一般有権者からも相手にされなくなった正彦は、とうとう引退に追い込まれてしまった。

私はそんな元夫の自業自得の顛末を、遠い海外で知りながら、今も漫画を描き続けている。毎日窓から見える広大な景色を背景に、私のペンは自由に紙の上を滑る。そして、こんな私にも自分のことを本当に愛してくれる最高のパートナーに恵まれた。私は今、幸せに暮らしている。

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