実の妹に彼氏を奪われたのはもう10年以上前の話。その妹が久しぶりに会うなり、私の婚約者を見て「底辺は底辺なりに幸せになってね」と言い放った。しかも私の婚約者は、妹に向かって「気が利くしいい子だね」と褒め始めた。妹はそれを聞いて、あの頃と同じようにニヤリと笑った。私はその瞬間、ある決意を固めた。もう二度と、誰にも大切なものを奪わせない。妹はまだ何も気づいていないけれど、次の瞬間、彼女の表情が一…

実の妹に彼氏を奪われたのはもう10年以上前の話。その妹が久しぶりに会うなり、私の婚約者を見て「底辺は底辺なりに幸せになってね」と言い放った。しかも私の婚約者は、妹に向かって「気が利くしいい子だね」と褒め始めた。妹はそれを聞いて、あの頃と同じようにニヤリと笑った。私はその瞬間、ある決意を固めた。もう二度と、誰にも大切なものを奪わせない。妹はまだ何も気づいていないけれど、次の瞬間、彼女の表情が一...

妹が私の顔を見るなり、口元に嫌な笑みを浮かべた。「もしかして式も挙げられないほど貧乏な人と結婚したの?まあ、仕方ないよね。お姉ちゃんの婚約者は私を選んだんだもの。一応言っておくね。結婚おめでとう。ま、底辺は底辺なりに幸せになってね」

久しぶりに再会した妹は、昔とまったく変わっていなかった。私を「底辺」と呼んだ。この子はなぜこんなに偉そうなのか。でも、今の私の状況は、妹の思い込みとは大きく違っていた。

私は宮本優香、33歳。産婦人科医をしている。昔読んだ本の主人公に憧れ、意思を持つ人を助けたいと思ってこの道を選んだ。たくさん努力して、今の地位を掴み取った。お産は緊急事態も多くて毎日忙しいけれど、この仕事にやりがいを感じている。そして、私のことを理解してくれるパートナーもいる。

でも、ここに来るまで順風満帆だったわけではない。私のそばにはいつも、私のものを奪おうとする存在がいた。それは実の妹、リリカだ。

私の実家は両親と妹と私の4人家族。妹は私より2歳年下で、末っ子ということもあって両親は彼女を甘やかした。私も、ちょっとしたことなら許してきた。父がケーキを買ってくれば妹が先に選び、私が選んだ方を欲しがれば交換した。レストランでも、私が注文したパスタを妹が欲しがれば交換した。クリスマスプレゼントでも、私がもらったプリンセス人形の方がいいと言われて交換した。妹は小さい頃から、私が持っているものを欲しがる傾向があった。思い通りにさせてきた家族や私にも、責任はあるのかもしれない。

とはいえ、物を欲しがるくらいは気にしていなかった。でも高校時代、とうとう許せないことが起きた。ついに私の彼氏まで奪ったのだ。

妹は私が高三の時、同じ高校に入学してきた。それまで私は妹の受験のために夜中まで一緒に勉強を付き合ったし、応援した。当時付き合っていた渡辺君も、妹の勉強に付き合ってくれていた。そんな彼に、妹は言った。「渡辺君って教えるの上手だよね」「そうかな?」「うん。お姉ちゃんより分かりやすい」「ひどい。私も教えてあげているのに」「だって本当だもん。渡辺君、これも教えてよ」

こうして妹は私の彼氏との距離を急速に縮めていき、合格した。すると入学した途端、学校で隙あらば渡辺君に声をかけ、同じ部活にも入った。そしてある日、私に向かってニヤニヤしながら堂々と言った。「お姉ちゃんごめんね。でも渡辺君も私の方が可愛いって言うから」渡辺君も言った。「優香、ごめん。俺、お前よりリカちゃんの方が好きになっちゃった。だっていつでも尽くしてくれるから、可愛いから」

ああ、なんてことだろう。私のショックは非常に大きなものだった。でも、私が取った行動は後から振り返っても偉いと思う。怒りを全部受験勉強に向けたのだ。家でも妹と話さず、塾に通い、学校でも図書館にこもって勉強し、見事医学部に合格した。妹と距離を置きたかったので、進学と共に家を出た。

それから何年も経って、実家で久しぶりに妹と会った。彼女は私の隣にいる婚約者を見て、興奮した様子で聞いてきた。「それにしてもこっちの人は彼氏?彼氏なの?」私は彼氏を取られた経験から何て言おうか悩んでいると、婚約者の正方が自己紹介をした。「もしかして優香の妹さん?初めまして。僕はまさ。今、優香とお付き合いさせてもらってます」「へえ。彼氏できたの?……妹さんに会えて良かったね。しかもリリカちゃんだっけ?気が利くしいい子だね」思わず「え?いい子?」と聞き返したくなった。妹が何を言ってくるのか、私は固唾を飲んで見守っていた。

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