「ねえ、今度いつ会える?」 夫が置き忘れたスマホに浮かんだLINEの通知。差出人は《とも》という女。ロックもかかっていないその画面を開いた瞬間、私は夫の浮気を知った。だけど、本当に許せなかったのは、不倫そのものじゃなかった。「ババーの介護はババーに任せろよ」という夫の言葉が、何よりも頭に残った。私は冷静に、合法的に、徹底的に復讐することを決めた。…

「ねえ、今度いつ会える?」 夫が置き忘れたスマホに浮かんだLINEの通知。差出人は《とも》という女。ロックもかかっていないその画面を開いた瞬間、私は夫の浮気を知った。だけど、本当に許せなかったのは、不倫そのものじゃなかった。「ババーの介護はババーに任せろよ」という夫の言葉が、何よりも頭に残った。私は冷静に、合法的に、徹底的に復讐することを決めた。...

スマホの着信音が何度も鳴り響いて、義母が「またなってるよ」と気にし始めた。居間のテーブルに置き忘れた夫のスマホ。電源を切ろうと手に取った瞬間、ホーム画面に浮かんだLINEの通知が目に飛び込んできた。
「ねえ、今度いつ会える?」
差出人は《とも》という女性。私はそこで初めて、夫が浮気をしていることを知った。

ロックもかかっていないスマホを開き、LINEの履歴を遡ると、ここ数ヶ月の間で頻繁にやり取りをしていたことがわかった。最初は「3日、いつもの場所で」といった約束から始まり、やがて私への悪口が並び始めた。
「うちのはもうババーだよ。稼げないし、すっぴんで髪もボサボサ。口を開けば子供の学費だの将来設計だの母さんの介護だの、つまんねえ話題ばっかりでしんどい」
「ババーの介護はババーに任せろよ。なおちゃんは私と幸せになろう」

読んでいるうちに、意外とショックは少なかった。義母に追われる日々で、夫の異変に気づく余裕がなかったのは事実だ。しかし、私が必死に支えてきた家のこと、子供のこと、義母の介護を「つまらない」と言い放ったその言葉が、何よりも許せなかった。
「絶対に許さない」
私はそう呟き、復讐を決意した。

長年の友人に相談すると、「焦らず証拠を固めて、徹底的に叩きなさい。ミサ、そういうの得意だったでしょ」と言われた。構想はすぐに固まったが、実行に移す時間がなかなか取れない。そんな矢先、義母が段差で転んで骨折した。親戚中から「ちゃんと見ておけ」と責められたが、これも好機だと捉えた。合法的な復讐に大切なのは、順序だ。

まず、私は夫に「子供の学習保険を一括払いしたい」と相談した。
「好きにしたらいいよ」
いつものように無関心な返事が返ってきたので、その言葉に甘えた。貯金から出せるだけの予算を組み、支払いを済ませる。残高に並んだ数字の桁数が減っていくのを見て、子供たちの養育費はこれで確保できたと確信した。

続いて、夫の口座から一定額を残して、残りをすべて下ろした。家計のやりくりをすべて私に任せている夫は、収入の分配や用途を確認することすらしない。生活費は共有口座に移し替え、余ったお金は現金のまま金庫に預けた。不倫相手の情報収集は探偵事務所に依頼し、警戒もしていなかったのか、相手の勤め先もすぐに特定できた。

準備が整ったとき、私は静かに引っ越しの手配を始めた。新しい住所は誰にも教えない。子供たちを連れて、夫のもとを離れるために。

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