「もういい。この無能君は首だ」 両親を失った後、叔父の会社で必死に働いてきたのに、体調を崩しただけで家も仕事も失った。行く宛てなくふらりと入った居酒屋で、後輩から「見切りをつける時だ」と言われて、ようやく自分がずっと無理をしていたことに気づいた。 そんな夜、店の片隅で眠る見知らぬ美女がいた。酔いつぶれた彼女を送り届けた翌朝、彼女が突然こう言ったのだ。…

「もういい。この無能君は首だ」 両親を失った後、叔父の会社で必死に働いてきたのに、体調を崩しただけで家も仕事も失った。行く宛てなくふらりと入った居酒屋で、後輩から「見切りをつける時だ」と言われて、ようやく自分がずっと無理をしていたことに気づいた。 そんな夜、店の片隅で眠る見知らぬ美女がいた。酔いつぶれた彼女を送り届けた翌朝、彼女が突然こう言ったのだ。...

「もういい。この無能君は首だ」
社長であり、両親が亡くなってからずっと世話になっている叔父が、冷たくそう言い放った。家業の会社で働き詰めだった俺は、ついに体調を崩して一週間寝込んだ。その結果がこれだ。

「体調を崩すようなら、君は普通ですらない。無能だよ」
叔父は続けて、会社を辞めるなら家も出て行けと言った。平凡で何の取り柄もない俺が悪いのだと、自分に言い聞かせるしかなかった。

行く当てもなく、足は自然と行きつけの居酒屋へ向いていた。店長の高杉は大学時代の後輩で、いつも金のない俺にビールや飯をサービスしてくれる気のいいやつだ。最後の別れを伝えるつもりで店の暖簾をくぐると、高杉は荷物を見て驚いた顔をした。

「家、追い出されたんだよ」
「……はあ。でも良かったんじゃないっすか? 先輩のことをちゃんと評価しない親戚に見切りをつける時だと思ってたんで」
高杉の優しさが染みた。ビールを一口流し込むと、少しだけ気持ちが軽くなった。

その時、店の隅で見知らぬ美女が一人、カウンターに突っ伏して眠っていた。
「あら、あきさんったら……先輩、あの子を送り届けてくれませんか?」
高杉に頼まれて、俺は眠る彼女を肩に担いだ。翌朝、目を覚ました彼女が突然、こう言った。
「ねえ、私が昨日言ったらしいことなんだけど……大和さん、受けてくれない?」
寝ぼけた頭では、彼女が何を言っているのかまったく理解できなかった。

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