「ねえ、おじさん、金ちょうだいよ。」お見合いの席で、取引先の社長の娘にいきなりそう言われた。清楚なお嬢様を想像していたのに、実際に現れたのは金髪ギャル。しかも態度は最悪で、お見合いしてやるから報酬を払えときたもんだ。施設育ちでずっと家族に憧れてきた俺は、温かい家庭を作るのが夢だった。なのに、この展開はあんまりだと思って思わず大声で叱った。そしたら彼女の態度が豹変した。「私、あんたに興味がある…

「ねえ、おじさん、金ちょうだいよ。」お見合いの席で、取引先の社長の娘にいきなりそう言われた。清楚なお嬢様を想像していたのに、実際に現れたのは金髪ギャル。しかも態度は最悪で、お見合いしてやるから報酬を払えときたもんだ。施設育ちでずっと家族に憧れてきた俺は、温かい家庭を作るのが夢だった。なのに、この展開はあんまりだと思って思わず大声で叱った。そしたら彼女の態度が豹変した。「私、あんたに興味がある...

「ねえ、おじさん、金ちょうだいよ。」

目の前に座っているのは、取引先の社長の娘。清楚でおとなしい人を想像していたのに、実際に現れたのはヤンキーとかギャルって言葉がぴったり当てはまる派手な女性だった。歳は20代前半といったところか。顔は確かに可愛い。でも、お見合いの場でいきなり金を要求してくるような相手だ。

俺は秋野優作。どこにでもいる普通のサラリーマンだ。会社ではそこそこの成績で、周りからもそれなりに認められている。幼い頃に両親を亡くし、施設で育った俺は、ずっと孤独だった。施設の人はみんな優しかったし、年上の子や年下の子の面倒を見るうちに、世話好きな性格にもなったと思う。けど、いつもどこかで家族というものに憧れていた。

温かい家庭を持つことが、昔からの夢だった。

取引先であるA社のプロジェクトを成功させた後日、俺がA社を訪れると、社長が急にこんなことを言い出した。

「秋野君の人間力を見込んで、私からお願いがあるんだ。私の娘とお見合いをしてくれないか?」

突然の提案に俺は戸惑ったけど、取引先の社長からのお願いを断るわけにもいかず、受けることにした。

そして1週間後、待ち合わせのホテルのラウンジで、社長と娘が現れた。想像とは全く違う相手に俺は驚いたが、それ以上に態度が酷かった。社長が娘に挨拶を促すと、

「え、めんどくさ。私、ナツキ。よろしく。」

そう言って、こちらを見もしない。

「秋野優作です。よろしくお願いします。」

俺が丁寧に頭を下げても、ナツキはスマホをいじったまま。社長は困ったように笑いながら言った。

「見ての通り、ナツキはこんな感じでね。私も妻も困っているんだよ。そこで君にお願いがあるんだ。ナツキのことを君に任せたいんだ。どうかな?」

「は、はあ…」

「さすが秋野君だ!よし、じゃあナツキのことは頼んだからね。」

そう言うと、社長は俺の肩を叩いて、そのまま去ってしまった。

残されたのは俺とナツキの二人きり。何か話さないとと思って必死に話題を探していると、ナツキは大きなため息をついて言った。

「めんどくさいなあ。ねえ、おじさん、お見合いしてやるからさ、金ちょうだいよ。」

「ちょっと待ってよ。なんでいきなりそうなるんだ?」

「だってあんた、嫁探してるんでしょ。社長の娘である私がありがたくお見合いしてやるって言ってるんだよ。だから、それに見合った報酬はかないと。」

正直、腹が立った。必死で話題を考えていたのに、想像以上にひどい態度で来られたからだ。

「君、いい加減にしろよ。」

俺が大声を上げると、ナツキは目を丸くして驚いた。

「わ、悪かった…」

「お見合いの相手にそんな口の聞き方があるか?失礼にもほどがあるだろう。いくら社長の娘だからって、やっていいことと悪いことがある。」

真剣に叱られたことが生まれて初めてだったのか、ナツキは黙って下を向いた。そして、しばらくして顔を上げると、今までとは全く違う真剣な目で俺を見つめて言った。

「…私、あんたに興味がある。」

「え?」

「私と本気で交際してくれないか?」

「…え?」

「ゆ作君?」

その瞬間、場の空気が一変した。さっきまで金を要求してきたギャルが、今度は本気の目で交際を申し込んできている。俺は混乱するしかなかった。これは一体、どういうことなのか。

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