あの日、終電を逃して駅前のファミレスに入った。昼間の雑用でボロボロの俺は、注文した料理を無言で食べまくっていた。すると後ろから「あなた、よく食べるわね」と声をかけられた。振り返ると、見知らぬ女性が俺をじっと見つめていた。彼女は笑いながら「一緒に飲まない?」と言って、俺の隣に座ってきた。でも、その後の一言が、すべてをひっくり返すことになるなんて、この時はまだ思ってもいなかった。…

あの日、終電を逃して駅前のファミレスに入った。昼間の雑用でボロボロの俺は、注文した料理を無言で食べまくっていた。すると後ろから「あなた、よく食べるわね」と声をかけられた。振り返ると、見知らぬ女性が俺をじっと見つめていた。彼女は笑いながら「一緒に飲まない?」と言って、俺の隣に座ってきた。でも、その後の一言が、すべてをひっくり返すことになるなんて、この時はまだ思ってもいなかった。...

俺の名前は一原教授。これは俺がまだ25歳の頃の話だ。

当時の俺は社会人3年目なのに、仕事の仕方すらよくわかっていなかった。同僚からは追い出しやけんかを食らわせられ、周りからは雑用ばかり押し付けられていた。毎日終電ギリギリの生活で、スーツは入社当時に買ったきり、シャツはシワだらけ。寝不足で人相も悪かった。今思えば、そんな容姿で営業なんて契約が取れるはずもなかったが、当時の俺は周りが見えていなかった。

その日も押し付けられた雑用をこなし、いつもなら終電に間に合うのに、その日に限って終電を逃してしまった。給料も安く、タクシーで帰る余裕もない。どうやって今夜を過ごそうかと考えながら歩いていると、駅前のファミレスからいい匂いが漂ってきた。ついつい店に入り、何かが吹っ切れたかのように、食べたいメニューをひたすら注文した。

運ばれてきた料理をガムシャラに食べていると、突然後方から女性の声が聞こえた。

「あなた、よく食べるわね。」

振り向くと、一人の女性がニコニコしながら俺を見ていた。口をパンパンにしている俺を見て「ふふふ」と笑う顔がとても可愛かった。

「ねえ、お酒は飲まないの?」

「ごめん、ちょっと何言ってるかわかんない。」

女性は俺の方にやってきて、肩をツンツンとつついた。慌てて口の中のものを飲み込み、「飲みます」と答えた。

「じゃあ、一緒に飲もっか。何飲む?最初はビールでいい?」

「あ、はい。それでお願いします。」

「え、私に注文させるの?」

その言葉に、俺は何か言い返すこともできず、ただ頷くことしかできなかった。

Thumbnail