夫が突然、息子の嫁と浮気していたことを告白し、なんとその場で「離婚届」を突きつけてきた。しかも、腹の中の子供は孫ではなく、自分の子供だと言い放ったのだ。私はショックでその場に崩れ落ちた。しかし、黙って息子を見ると、彼は妙に冷静だった。「母さん、今すぐ離婚届を出した方がいい」と。そして彼は、夫と嫁の秘密を探偵に調べさせていたという。私は、夫の裏切りと嫁の本性を知り、怒りと絶望で震えたが、今はた…

夫が突然、息子の嫁と浮気していたことを告白し、なんとその場で「離婚届」を突きつけてきた。しかも、腹の中の子供は孫ではなく、自分の子供だと言い放ったのだ。私はショックでその場に崩れ落ちた。しかし、黙って息子を見ると、彼は妙に冷静だった。「母さん、今すぐ離婚届を出した方がいい」と。そして彼は、夫と嫁の秘密を探偵に調べさせていたという。私は、夫の裏切りと嫁の本性を知り、怒りと絶望で震えたが、今はた...

夫が突然、息子の嫁の隣にぴったりとくっつき、満面の笑みで言い放った。

「これが俺とリンちゃんの赤ちゃんか。やったぞ。実の息子より先にリンちゃんの子供を作ってやった。」

その場の空気が凍りついた。私は自分の聞き間違いだと思い、聞き返した。

「ごめん、何言ってるか理解できなかったんだけど。」

「だから、今リンちゃんのお腹にいるのはヒロの子供じゃなくて、俺の子供なの。自分の父親に嫁を寝取られるなんて、かわいそうなやつだな。」

夫の言葉を理解した瞬間、吐き気が襲ってきて、私は椅子から崩れ落ちた。

「あなた、自分のしたこと分かってるの?本当に信じられないわ。」

私は長年、夫の健一と息子のヒロと、そして去年結婚したばかりの嫁のリンと、4人で暮らしていた。健一は私より2つ年上で、学生時代にサークルで知り合った。いつも穏やかで紳士的な彼に惹かれ、交際に発展。卒業と同時に結婚した。

それから3年後、私は男の子を妊娠。ヒロが生まれた。仕事をしながらの子育ては想像以上に大変だったが、ヒロは優しく賢い子に育ち、都内トップの大学に入り、一流企業に就職した。自慢の息子だ。

ヒロは職場で出会ったリンと交際わずか1年で結婚。リンは小柄で可愛らしい顔立ちの女性だった。私たち夫婦と息子夫婦の4人暮らしが始まった。

そんなある日、健一が部長に昇進した。家族みんなで高級寿司屋でお祝いした。しかし、昇進してからというもの、健一の性格は大きく変わっていった。上からも下からも圧力がかかり、ストレスでやつれていった。そして、家では私に対して命令口調で振る舞うようになった。

「おい、和美、俺の飯とビール早く持ってこい。」

「そんなの自分で用意できるでしょう?急にどうしちゃったの?」

「本来ならお前が率先してやるべきことだろう。一家の大黒柱が仕事で疲れて帰ってきたのに、労わる気持ちもないのか。」

最初は抵抗したが、喧嘩になるのが面倒で、最近は言うことを聞くようにしていた。ヒロも父の変化に気づき、何度か健一と言い争っていたが、健一は「俺に口応えするのもいい加減にしろ」とヒロを言いくるめてしまっていた。

そんな夫が唯一態度を緩める相手が、嫁のリンだった。息子夫婦は将来子供ができた時のために、リンが仕事を辞めて家にいることを選んだ。しかし、結婚から2年経っても子供には恵まれない。家にいる時間が多いリンに、健一は甘えていた。

「リンちゃんは本当に可愛くていい嫁だな。見てるだけで癒されるよ。」

健一は毎日のようにリンを褒め、絡みに行く。リンも健一に気に入られようと料理に力を入れたり、肩を揉んだりしていた。私はリンに申し訳ないと思いつつも、感謝していた。

しかし、最近あることに気づいた。ヒロが家にいるのにも関わらず、リンが健一にばかりかまっているのだ。最初は気のせいだと思ったが、ヒロが話しかけているのに、リンが露骨に無視しているのを目撃してからは確信に変わった。

「ちょっと、リンさん。さっきヒロのこと無視してなかった?かわいそうだから、話くらい聞いてあげてくれない?」

私は関係を壊したくなくて、なるべく言葉を選んで注意した。しかし、リンから返ってきたのは予想外の言葉だった。

「ちょっと、この年にもなってまだ説教ですか?お母さん、もうさすがにうざいですって。それに、そんなことでお母さんに注意してもらうなんて、ヒロってマザコンだったんですか?」

ショックを受けて必死に説明しようとすると、健一が割り込んできた。

「俺はリンちゃんに同意だな。そんな細かいことで怒ってると、そのうち鬼ババアって呼ばれるかもな。」

「お父さん、それはさすがに言いすぎですって。」

まさか夫が一緒になって笑うとは思わず、私は口が塞がらなかった。これ以上何を言っても伝わらないと諦めた。

それからしばらく経ったある日のこと。珍しく仕事が早く終わり、久しぶりに明るい時間に帰宅した。すると、いつもならパートで働いているはずのリンが、顔を真っ青にして帰ってきて、トイレに駆け込んでいった。しばらくして出てきたが、まだ顔は青く、ひどく体調が悪そうだった。

「もしかして……」

私はあることに気づき、急いでリンを車に乗せて産婦人科に向かった。検査の結果は思った通り、リンは妊娠していた。孫の顔が見られないかもしれないと覚悟していたので、私は飛び上がりそうなほど喜んだ。

夕食時、家族全員が揃ったところで、病院からもらってきたエコー写真を見せ、妊娠を発表した。

「妊娠したって、本当なのか?」

ヒロは喜びよりも驚きの方が勝っているようで、何度もリンとエコー写真を見比べていた。これから親になる不安や責任を感じているような表情だった。私は真面目なヒロの姿を内心ほっこりした。

しかし、今回の妊娠発表で家族の中で誰よりも喜んでいるのは、健一だった。リンの横にぴったりとくっつき、満面の笑みで彼女を見つめながら「よくやった」と言いながら、手まで握っている。そして、ヒロからエコー写真を受け取ると、じっと見つめ、突然衝撃的な言葉を放った。

「これが俺とリンちゃんの赤ちゃんか。やったぞ。実の息子より先にリンちゃんの子供を作ってやった。」

夫の発言に、その場が凍りついた。

「はい、ごめん。何言ってるか理解できなかったんだけど。」

ヒロも困惑した表情で、口をポカンと開けて健一を見つめている。

「だから、今リンちゃんのお腹にいるのはヒロの子供じゃなくて俺の子供なの。今まで黙ってたけど、俺はずっと前からリンちゃんとはそういう関係だったからさ。リンちゃんから聞いて知ってるけど、ヒロはお前、リンちゃんとはここ最近ゴブサタだったんだろ。だから自分の子供か分からなくて素直に喜べなかったんだよな。自分の父親に嫁を取られるなんて、かわいそうなやつだ。」

私は夫の言っていることが信じられなかった。今までの2人の仲良さげな行動、そして今、リンが薄ら笑いを浮かべて健一に寄りかかりながら手を握り返しているのを目の当たりにし、夫の言葉が本当なのだと確信した。そして同時に、どうしようもない嫌悪感と怒り、そして吐き気が襲ってきて、私は口を抑えながら床に倒れ込んだ。

「あなた、自分のしたこと分かってるの?本当に信じられないわ。」

私の言葉を聞くと、健一は仕事用の鞄からあるものを取り出して私に突きつけた。

「これ、離婚届。記入は済ませてあるから、自分の欄書き終わったら役所に提出しておいて。自分のしたことは分かってるよ。だからこうして責任取らなくちゃね。」

さらにリンが追い打ちをかけるように言った。

「こんなに若いうちから妊活頑張ってたのに、子供ができなかったのはヒロがタネなしだったってことですよね。そんな人、私の旦那にはふさわしくないので、夫とは別れてこれからはお父さんと幸せな家庭を築きます。」

激しく動揺する私。今起きている事実を理解することはできても、受け止めるにはあまりにも重く、酷い。次に言うべき言葉が見つからず、口だけがパクパクと動いていた。

ふとヒロに目をやると、私とは対照的にかなり冷静さを取り戻し、落ち着いて見えた。そして、自分の嫁と父親をじっと見つめると、ゆっくりと口を開いた。

「はあ。実は言いにくいんだけど。」

その一言にただならない雰囲気を感じ取ったのか、今までベタベタとしていた健一とリンが急にピタッと静かになり、ヒロの言葉に耳を傾けた。

「2人とも、近々地獄を見ることになるよ。」

「地獄ってどういうことなのよ。説明しなさいよ、ヒロ。」

リンは「地獄」というワードに反応し、大声でヒロを問い詰め始めた。しかしヒロは無視して、今度は私に話を振ってきた。

「母さん、とにかく今はすぐに離婚届を記入して役所に提出した方がいい。今手元にあるうちに早く。」

ヒロにせかされ、私は急いでボールペンを手に取ると空欄を埋め始めた。

「母さんやリンにはうまく隠していたみたいだけど、実は父さんには今、莫大な借金があるんだ。」

「お、お前、どこでそれを……」

まさか息子がその秘密を知っているとは思わなかったようで、先ほどまでの勝ち誇った表情から一変し、脂汗が吹き出し動揺し始める健一。

ヒロの言っていることは事実だった。健一は部長に昇進してからというもの、その立場の重さにストレスを感じ、それを発散するためにキャバクラに足しげく通っていたのだ。

「それに気づいたのは偶然なんだ。少し前からリンと父さんの関係を疑っててね。まさかとは思ったから、確かめようと探偵に依頼をして2人のことを調査させてもらった。その過程で、父さんがキャバクラに頻繁に通っていることが分かって、口座も何もかもチェックした。闇金にも手を出してるみたいだから、もうどうしようもないね。」

そう言ってヒロは、健一がキャバクラに出入りしているところが収められている写真をテーブルに並べた。

「健一、それって本当なの?」

怒りの矛先が息子から夫に変わり、今度はリンが健一を激しく問い詰める。健一も隠しきれないと分かったのか、しどろもどろに借金の事実を認めている。

「じゃあ何?結婚したら海外旅行に行こうって言ってたのは嘘だったってことね。私の欲しいものみんな買ってくれるって約束も全部嘘。」

リンは怒り狂いながら、健一の胸をどんどんと叩き散らかしている。先ほどまで余裕綽々の表情で健一を見つめていたリンは、すっかり消え去ったようだった。

「おい、リン。お前はそんな人のこと責められるような立場じゃないだろう。お前だって秘密抱えてるくせに、図々しい。」

「はあ?タネなし男が私の何を知ってるっていうわけ?」

リンを嘲笑うヒロ。しかし、ヒロは気にせず話を進める。

「さっきも言ったけど、あんたたち2人の関係をはっきりさせるために探偵調査を依頼した。だから父さんだけじゃなくて、リンの行動も徹底的に調べ上げたら、とんでもない結果が返ってきたよ。なんと、父さんだけじゃなくて複数の男と浮気しているみたいだな。しかも中には既婚者もいるみたいだし。これは慰謝料を請求されても文句は言えないよ。」

今度はヒロが、リンが知らない男とホテルから出てくる写真を1枚ずつ丁寧に見せつけるように並べていく。リンはまさか浮気相手全員との写真を撮られていたとは思わなかったのか、顔を真っ赤にしてヒロを睨みつけている。

リンは派遣社員でありながら、同時に複数の男性と交際しており、職場で出会った人はもちろん、婚活アプリを使って出会った男性とも不倫を繰り返していた。その目的はもちろんお金。贅沢にまみれた結婚生活を送りたいがために、手当たり次第に高収入の男を漁っていたのだ。

「浮気相手の方ももちろん詳しく調べたんだけど、全員年収が1000万以上で、中には医者もいたっけな。そうなると、俺と結婚した理由も納得がいくよ。」

「そうよ。ヒロの言う通り。結婚したのはお金目当てに決まってるじゃない。じゃあなかったら、誰がこんな地味でマザコンの男なんかと結婚するかっての。あの時は優秀だって会社中で噂されてる出世コースに乗ってるって言うから近づいたのよ。なのに結婚しても実家暮らしだし、目当ての収入も全く上がらない。だから部長に昇進した健一さんに乗り換えたってわけ。」

長年大切に育ててきた息子を食い物にするような女は絶対に許さない。私は握っていたボールペンを握る力を強くした。

しかし、そんなリンの言葉にヒロは動じない。

「お金のためにそこまでするのは逆に尊敬するよ。だけど、残念ながらその父さんももうすぐ部長じゃいられなくなるかもしれないよ。」

すると途端にリンの顔が曇る。

「それってどういう意味?私は部長夫人にはなれないって言いたいわけ?」

ヒロはニヤッと笑うと、ゆっくりと説明を始めた。

「父さん、今度、会社で評価を左右する大きな取引があるって言ってたよね。」

「ああ、これまでの取引とは比べ物にならない額で、しかも相手は超大手企業だが。」

「俺が部長でいられなくなるって話すと、その取引は何も関係ないだろう。」

「それが関係あるんだよ。だって、その超大手企業の会社役員が母さんなんだから。」

「そ、そんなバカな……」

本当なのかという表情で私の顔を見る健一。私は健一の方を見ずに「そうよ」とだけ返事をした。すると、みるみる健一の顔色が真っ青になっていき、手も震え出すと、自分がとんでもないことをしでかしてしまったとようやく理解したような表情になる。

「なんで今までそんな大事なこと黙っていたんだよ。一言教えてくれれば、俺だってこんなこと……」

健一は手だけでなく声も震えており、激しく後悔しているのが伝わってきた。しかし、今の私に同情する心の余裕はない。むしろ気分が良いとさえ思えた。

「そんなの、取引先の情報を調べないあなたが悪いんじゃない?まあ、今回のこの取引については、元々私たちはあんまり乗り気じゃなかったし。それに取引相手の1人がこんな不祥事を起こしたなんて知ったら、結果は目に見えてるわね。」

「お、お前それって冗談だよな。なあ。」

うろたえる健一を無視して、私は記入した離婚届を持って立ち上がった。

「ヒロの言う通り。さっさと離婚届記入して正解ね。あなたのお望み通り離婚してあげる。じゃあ、私はさっさとこれ出してくるから。」

私は1秒でも早く夫と縁を切りたかったので、家を出ようと車のキーを手にしてリビングから出て行こうとするが、焦った健一に手首を掴まれてしまった。

「ちょっと待て。事情が変わった。お前と離婚するのは撤回する。」

「はあ?」

「そ、そうだ。お前と離婚するのは撤回する。お前とはもう何もない。もう何もしない。」

「え、いや、やめてよ。自分の保身のために離婚を撤回するなんて、どこまでもしょうもない男ね。あんたがそんな小物だなんて知らなかったわ。」

私と健一が揉み合っていると、ヒロが健一を私から引き離そうと、健一を押さえつけた。

「母さん、俺が父さんを抑えてるから、今のうちに。」

「あ、ありがとう。ヒロ。」

ヒロに抑えつけられても、健一はまだ抵抗して離婚届を奪おうと私の方を睨みつけてくる。

「父さん、いい加減にしろ。こうなったのも全部自業自得だろう。」

「くそっ。話せよ。離婚したら俺はもう終わりなんだ。」

息子と夫がそう怒鳴り合っているのが背後で聞こえたが、振り向かず、私は急いで家を後にし、そのまま市役所へ車を飛ばし、駆け込むように離婚届を提出した。

それから数日後。健一の息子の嫁との不倫騒動が、会社中に駆け巡った。健一は役員会議にかけられると、ヒロの言っていた通り部長職を解かれることとなり、窓際部署への移動が決まった。しかし、不倫の噂は会社中に広まっていたため、移動先でも周りの社員から白い目で見られることに。尊敬や憧れの目で見てくれていた後輩や同僚はもうどこにもおらず、冷ややかな目で見られるだけの毎日に耐えられなくなった健一は、とうとう自ら退職した。その後、様々な企業に応募するも、年齢がネックになりどこの企業にも断られ、今は清掃会社のアルバイトで生活費を稼いでいる。

もちろん、私は多額の慰謝料を請求することに成功。健一は今まで住んでいた家を売り払うことを余儀なくされ、狭いアパートに引っ越し、慰謝料の返済に追われながら、質素な生活を送っている。

息子のヒロとも離婚が成立した。元嫁のリンは妊娠していたが、最初は他の男の家に押しかけたものの、お腹に子供がいるという理由でどの男からも相手にされず、仕方なく健一の元へ戻ってきたらしい。しかし、リンは以前夢見ていた贅沢な暮らしとは真逆の貧乏暮らしにうんざり。しかも慰謝料だけではなく、健一は借金を抱えてそれを返すので精一杯で、これから生まれてくる子供を養うだけの余裕もない。1ヶ月もしないうちにリンは健一の元を去り、今は実家に引きこもっている。もちろん、一連の不倫騒動を知った両親からは毎日叱られ、さらに近所から冷ややかな視線を浴びながら、ストレスだらけの生活を送る羽目になった。

一方で、私はと言うと、これまで以上にバリバリ仕事をこなしている。健一の存在から解放された反動なのか、ストレスがなくなり仕事に集中できたためか、大きな仕事を受けるたびに実績を残すことに成功した。近々うちの会社は上場するらしく、今はその準備に追われているが、私にとってはかなり充実した日々だ。

離婚したヒロと私は、その後も一緒に暮らしながら仕事に励んでいる。ヒロは仕事の頑張りが認められたのか、つい先日係長に昇進した。母親の私から見ても仕事を楽しんでいるように見え、内心かなり嬉しく思っている。そして最近、新しい出会いもあったようだ。離婚してからヒロはしばらく落ち込んでいたが、先日行われた同窓会に参加した際に、昔気になっていた同級生と再会したらしい。その子は私も知っている子で、正直私としてもかなり安心だ。

「実は今日、改めてその子を紹介したいんだ。」

仕事終わりにレストランで待ち合わせをしているらしい。もしかしたら、いい報告が聞けるかもしれない。だから今日は絶対に残業できない。そう心に決め、私は仕上げなければならない資料作成に張り切って取りかかった。

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