「お前、社長のくせに中卒だろ?」——契約成立のその場で、担当役員が私の契約書を破り捨てた。中卒と蔑まれ、90億の発注を嘲笑された。だが、彼は知らなかった。私が持つ特許が、この業界の常識を覆すものだということを。そして、その暴言がすべてをひっくり返すとは。 この記事が役に立ったら、いいね&フォローして経営者たちの痛快逆転劇をもっとお届けします。

「お前、社長のくせに中卒だろ?」——契約成立のその場で、担当役員が私の契約書を破り捨てた。中卒と蔑まれ、90億の発注を嘲笑された。だが、彼は知らなかった。私が持つ特許が、この業界の常識を覆すものだということを。そして、その暴言がすべてをひっくり返すとは。 この記事が役に立ったら、いいね&フォローして経営者たちの痛快逆転劇をもっとお届けします。

「お前、社長のくせに中卒なんだろ?中卒のクズが社長なんて名乗っていいのかよ」

大手ゼネコンとの契約成立の場に現れた営業部長は、俺を嘲笑いながらそんな言葉を放った。彼は俺の前に置かれたサイン済みの契約書を手に取ると、ためらうことなくビリビリと破り捨てる。

「中卒のクズが経営する底辺会社とは、今日限りで縁を切ってやる。分かったらさっさと出ていけ」

突きつけられた暴言と共に、破かれた契約書が無情にも床に散る。息を飲む担当者が青ざめた表情で俺に謝罪しようとするが、俺は冷静に放った。

「もう遅い。90億の発注はなしだ」

俺の名前は長山竜二。現在は父から継いだ建設会社の社長を務めている。父が裸一貫で立ち上げたこの会社は規模こそ小さいが、真面目な父は一つ一つの仕事を手を抜かず堅実にこなしてきた。そんな父の背中を見て育った俺は、苦労する父を助けたい思いから高校には進学せず、中学卒業と同時にこの会社で修行を始めたのだった。

やがて会社の業績も安定し始めた頃、無理がたたったのか父が急な心臓の病で亡くなってしまった。会社もこれからという時の父の死に、俺や社員たちはただ呆然とするばかりだった。それでも悲しんでばかりはいられない。俺は父から受け継いだ会社を何としても守り抜くという強い決意を胸に、歯を食い縛って前を向き働き始めた。

社員たちも若い俺を積極的に支えてくれるようになり、いつしか俺と社員たちは一つの大きな家族のようにしっかりとまとまっていった。

ちなみに俺は働き始めた頃から独学で建設に関する勉強や研究をしてきた。社長になった今も日課として続けている。うちのような規模の小さな会社は、他の同業者と同じことをしていてはとても敵わないからだ。他者との差別化を図るためにも、日々の学びや新しい工法の研究は欠かせない。俺は寝る間も惜しんで技術や工法を吸収し続けていた。

そんなある日、俺は得意先である大手ゼネコンの本社へと赴いていた。俺はその会社に向けて、とある要望を出していたのだ。時間をかけて事前交渉を積み重ね、本日めでたく成立となったのである。

正式に取り交わされた契約書の前で、俺は担当者と握手を交わす。

「本日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。これからもどうぞよろしくお願いいたします」

担当者は丁寧に頭を下げた。

「長山さん、今夜のご予定はいかがですか?もしよろしければ、今回の契約成立を祝して一席設けさせていただきますが」
「ああ、申し訳ない。それが今夜は別の打ち合わせが入っておりまして」

俺がそういった接待の場に参加しないのは前からのことなので、担当者も挨拶程度に言ったのだろう。実際、俺の返答に気分を害した様子もなく、担当者は「いえ、お気になさらず」とあっさり引き下がった。

だが、そのまま建設業界の最近の動向などについてやり取りしていたその時だった。

バンッと会議室の扉が突然開けられ、何の掛け声もなく一人の男性がズカズカと中へ入ってきた。ノックもせずに現れた侵入者に俺が呆気に取られている傍らで、同じく目を丸くしていた担当者がやがて鋭い声をあげる。

「相原部長、どうされたのですか?」

俺は担当者の横顔を見た。部長というからには、この男性は担当者の上司なのだろうか。視線を向けると、相手もまたこちらを見ていたのか、ふと目が合う。だが男性は俺をじろっと軽く眺めると、すぐに小馬鹿にするようにしてふんと鼻を鳴らした。

明らかにこちらを軽んじているかのようなその態度に、俺は思わず眉を潜める。

「えっと、長山さん。こちら、弊社の営業部長の相原です。私の直属の上司でして。相原部長は最近弊社に入社されました」

突然現れた上司を、担当者が慌ててそう紹介した。だがせっかく場を取り繕おうとする部下の声を遮るようにして、相原部長は悪びれもせず割って入ってくる。

「ちなみに私は以前、某大手シンクタンクに在籍していてね。この会社には是非にとヘッドハンティングされて入社したんだよ」
「ああ、ええ、なるほど。優秀な方なんですね」

頼まれもしないのに自身の経歴を誇示するようにしてそんなことを口にする相原部長に、俺は早くも辟易していた。自分に自信のあるこの手の人間は、大体めんどくさいタイプが多いのだ。だがここはビジネスの場。父の代から付き合いのある会社だ。これも仕事と割り切り、俺も精一杯の愛想笑いを浮かべて頭を下げつつ名刺を渡す。

「長山竜二と申します。先代とは父の代からのお付き合いをさせていただいておりまして、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします」

相原部長の指が、差し出した名刺を俺の手から無造作に引き抜いた。彼は名刺に記載された文面を睨むように一瞥すると、にやりと口元を歪める。

「社長……ふん、社長ね」

いかにも含みを持たせて相原部長はそう吐いた。そしてその直後、なんと彼は俺の名刺を目の前でビリビリと破り捨てたのである。

「えっ、部長!?」

さすがに目を見開いて固まる俺。その横では担当者が悲鳴のような声を上げて青ざめている。だがそんな俺たちの様子などまるで意に返さないように、相原部長は低く濁った声で笑うと、再び俺をじろりと睨んだ。

「いいか、俺は一流大学を出て一流の仕事をし、是非にとヘッドハンティングされてこの会社にやってきたエリートだ。だったらここでの仕事相手も、それにふさわしく俺に釣り合うような一流の人間でなくては話にならん」

そのあまりの居丈高さに、俺は圧気に取られる。自信があるのは結構だが、今時そんな暴言を面と向かって口にするその思い上がりと勘違いぶりに、どうにも呆れ返ってしまったのだ。

「部長、あの、こちらの長山さんは……」

上司と俺の間に挟まれた担当者が、どうにか上司の暴言を止めようとアワアワしているが、残念ながら肝心の上司には相手にもされていない。相原部長は声をかける部下のことを煩わしそうに手で追いやると、さらに俺を射殺すような目で見据えてニヤニヤと笑う。

「お前のこと調べたぞ。驚いた。お前、社長のくせに中卒なんだろ?おいおい、中卒のクズが社長なんて名乗っていいのかよ。ま、会社つっても、どうせ吹けば飛ぶような零細だろうが」

相原部長が嘲笑うように肩を揺らしている。そして彼は、会議室のデスクに置いてあった先ほどサインしたばかりの契約書に目を向け、それを雑につまみ上げた。

「部長、それは……」

なんとなく嫌な予感を覚えたのだろう。担当者が掠れた声をあげる。だが相原部長は例のごとく部下の訴えを完全に無視して、面白くなさそうに手元の契約書をヒラヒラと揺らした。

「この会社も、お前みたいな奴と契約するなんて何考えてんだか。父の代からの付き合いだかなんだか知らないが、そういう古臭い考えは俺が断ち切ってやるよ」

言いながら、相原部長の指が契約書にかかる。その口元が意地悪く歪んだ。

「中卒のクズが経営する底辺会社とは、今日限りで縁を切ってやる!」

彼は大きな声を上げてそう告げた直後、ビリッと契約書を真っ二つに破いた。担当者の息を飲む音がそれに重なる。やがて俺の目の前で契約書はビリビリと破り捨てられ、紙の残骸と共に無残にも彼の足元へ無造作に落とされたのだった。

ずっと黙ったままの俺を小馬鹿に見下ろし、相原部長は高らかに口にする。

「ははっ、言葉もないってか。悔しかったら今からでも一流大学に入り直してこいよ。ま、お前みたいな中卒のクズの頭じゃ、逆立ちしたって無理だろうけどな」

足元に落ちた名刺や契約書の破片をこれ見よがしに踏みつけながら高笑いをする相原部長。だがそこで、契約書を破られたショックからいち早く立ち直ったらしい担当者が、必死に大声をあげた。

「相原部長、違います!長山さんの会社は底辺なんかじゃありません!」

室内にこだまする叫びに、ようやく相原部長が高笑いを止める。だが彼は自身の部下をじろりと睨むと、不愉快そうに眉を潜めた。

「おい、余計な庇い立てをするな。だからこんな零細になめられて、契約なんてさせられるんだ。うちは大手だぞ。一流なんだ。その自覚を持たんか、バカが」

しかし上司に怒鳴られつつも、担当者はそれでも反論しようとする。けれど相原部長は聞く耳を持たない。彼は俺を指さしてさらに怒鳴った。

「うちの会社はお前みたいな中卒のクズとは取引しない。分かったらさっさと出ていけ!」

一呼吸置いて、俺は静かに頷いた。

「そうですか。では、そうさせてもらいます」

それだけ言って、俺が言葉通りそのまま会議室を出ていこうとするものだから、その場に残された担当者は九十度の角度で思いっきり頭を下げる。

「申し訳ありません!相原部長は現場のことをあまりご存知でなくて……」

今にも倒れそうな顔色で必死にそう言う担当者。けれど、その努力を台無しにするように、後ろから相原部長が唸るように言う。

「おい、だからそんな小物の相手なんかに頭を下げるなと言っているだろうが」

顔を赤くして怒り狂う彼を一瞥し、俺は冷たく吐き捨てた。

「相原部長もそうおっしゃっていることですし、今回の契約は白紙にしましょう。したがって、御社への90億の発注も、なしということで」

「そんな!?」

俺の返答を受けて、担当者は目眩でも起こしたようにのけぞる。だがそんな部下を尻目に、相原部長はそこで初めて小首をかしげた。

「はあ?三流以下の零細会社のくせに、何が90億の発注だ。ふざけるな」

だが俺はその嘲笑を切り捨てるようにして、短く答えた。

「お言葉ですが、ふざけるだなんてとんでもない。私は至って大真面目です。ですが、そちらがそのおつもりなら、私も相応の対処をするまでですよ。それでは」

今度こそ出て行こうとする俺に、真っ白な顔色をした担当者が涙ながらに追いすがった。

「長山さん、お願いです!どうか契約については、一度考え直していただけないでしょうか?」

しかしそこへ、飽きずに横やりを入れる相原部長。

「だから、みっともない真似はするな、バカ野郎!」

そして今度は物理的にも、俺に追いすがる担当者を押し退けようとしてきた。そのまま二人で押し問答となった末、とうとう我慢の限界に達したらしい担当者が相原部長を強く押し返した。

「いい加減にしてください!この会社にとって、こちらの長山さんとの契約がどれほど大事か、部長には分かってないんでしょう!」

まさか部下から怒鳴り返されるとは思っていなかったのか、相原部長の目が驚いたように見開かれた。動きを止めた上司に、担当者はこれでもかと詰め寄る。

「長山さんとの契約を破棄することになれば、うちは同業他社に大幅な遅れを取ることになるんですよ!」

「はあ……」

部下の訴えに、相原部長はポカンと口を開けた。部下の言葉の意味が分かっていない。その顔には困惑と不信の色が浮かんでいた。だが、俺から見ても担当者の言っていることは事実である。

実は俺は、独学で建設について学び技術を磨く中で、効率的かつ高品質な建設工法を独自に開発し、特許を取得していたのだ。この工法を活用すれば、大幅な工期短縮とより少ない人員での建設が可能になり、その分予算も減らすことができる。そのため、今多くの建設会社やゼネコンから注目されている技術なのだ。

そしてそれに目をつけた市の方から、今回、駅前再開発のオファーが俺の元に届いた。規模も予算も今までにないほど大きい案件である。しかしそれゆえ、俺の会社だけではとてもプロジェクト全体を管理・実行することができないこともまた明白だった。そこで市の方とも相談し、俺はプロジェクト実現のために、元々の得意先であったこの大手ゼネコンへと発注をかけることにしたのである。

また大手ゼネコンからも、今回のプロジェクトをきっかけに、こちらの持つその特許工法に関して継続的かつ独占的に契約を結ぶことを提案され、俺もその条件を飲んでいた。そして今日、その契約のために俺はこの本社を訪れていたのだった。

俺は相原部長の足元に散らばり、哀れにも踏みつけられた契約書をちらりと見やる。この会社が一方的に契約を破棄するということは、単に90億の発注を失うというだけの話ではない。むしろこの会社にとっては、俺の特許工法の独占的な契約こそが本来の目的だと言ってもいいだろう。それなのに、今まで慎重に積み上げてきた契約に関する諸々が、現場のことを何も分かっていない相原部長の自己満足によって、あっという間にめちゃくちゃにされてしまったのだ。それはもう、この担当者だって相原部長に文句の一つも言いたくなるだろう。

「こ、こいつ…いや、あなたが特許工法の所有者だと…?」

ここに来てようやく事の次第を理解し始めたのか、相原部長の顔からさっと血の気が引いていく。それから激昂する部下と、冷たい視線を向ける俺を交互に見比べて、奇妙な表情を浮かべた彼は、へらりと間の抜けた笑みを浮かべた。

「いやいや、それならそうと先に言ってくれないと。いやね、私も長山さんはそこら辺の連中とは何かが違うと初めから思っていたんですよ。いやはや、独学で特許を取得されるとは素晴らしい!」

そうして先ほどまでのやり取りなどまるでなかったかのように、歯の浮くようなセリフを並べ立てるものだから、それには俺も心の底から呆れ返ってしまう。きっと傍らの担当者も俺と同じ気持ちなのだろう。やってられないといった表情を浮かべ、部下は呆れた上司を睨みつけていた。

だが相原部長は俺たちの気持ちなどお構いなしで、グイグイとこちらに迫ってくる。

「そんな素晴らしい技術を持つ方とこうして話ができるとは、もう光栄の至りです。やはり一流同士は自然と引き合うんですね。ここは一つ、是非とも弊社と契約を……」

「その契約は、数分前にあなたが一方的に破棄しましたけどね」

笑いを堪えつつ、俺は淡々と返答した。

「いやいや!破棄だなんて、とんでもない!」

「相原部長のおっしゃる通り、私は一応、中卒の底辺ですからね。まあでも、底辺は底辺なりに、お付き合いのある企業は他にもあるんですよ。例えば……」

俺が挙げたいくつかの企業名に、相原部長と担当者がぎくりと目を見開く。そう、それらは全てこの会社のライバル企業のものだったからだ。

「ま、待ってください!長山さん!」

担当者が慌てふためきながら声を張り上げる。彼もあんな上司を持たなければ、今回の契約の立役者として昇進の夢もあっただろうに。俺はほんの少し担当者に同情したが、あんな暴言を吐く人間が部長を務める会社とは、今後一切取引に応じたくないのもまた事実。

俺は担当者に向かい丁寧な一礼をすると、その横でただ慌てふためいているだけの相原部長を冷めた目で見据えた。

「古臭いかもしれませんが、先代とは父の代からの付き合いです。だからこそ、今回の契約も御社とならいいパートナーになれると思っていたのですが。残念ですが、もう遅い。お付き合いも、これまでです」

それだけ言い置いて、俺は一人会議室を出ていく。俺の気持ちは変わらないということを悟ったのか、その姿を担当者は静かに見送ってくれた。だが、担当者ほど物分かりの良くない相原部長は、耳障りな喚き声をあげながらなおも俺を追いかけてくる。

「長山さん、お待ちください!よし、分かりました。契約内容を見直しましょう。そちらに有利になるようにいたします。とにかく一度、美味い酒でも飲みながらゆっくり話し合って……」

俺はそこでぴたりと足を止め、振り向いた。その様子に、相原部長は自分の説得に俺が心動かされたとでも勘違いしたのか、わざとらしく満面の笑みを浮かべて猫撫で声で言いつる。

「おお、長山さんは話が分かる方だ!それならば、是非今夜にでも一席設けさせていただきます。堅苦しいのはなしにして、綺麗どころもたくさん呼んで、賑やかに参りましょう!」

さあさあと俺に近づき促してくる相原部長。だが俺はその手をきっぱりと振り払った。そしてまっすぐ彼と相対する。

「ご存知ないようですからお教えしますが、私は昔から接待の類いが大嫌いでしてね。これまでもそういった会合は受けておりません。また、迷惑ですので、これ以上私を引き止めるようなら、警察を呼びますよ」

「警察」という単語に、相原部長がぎくっと固まる。

「それは……というか、私がこれだけ言っているんだ。話くらい聞くのが筋ってもんだろう」

あれだけ人の話を聞いていない人間からまさかそんなことを言われるとは思わず、俺はもはや笑ってしまいそうになった。手のひらを返して媚びを売りながらも、内心では未だこちらを蔑んでいるのが丸分かりである。俺はやんわりと微笑んで言った。

「まあ、あなたも嬉しいんじゃないですか?お望み通り、これっきり俺みたいな中卒のクズとは縁が切れるんだから。もちろん、顔も二度と会わない」

すると今回ばかりは、相原部長にもこちらの意図が伝わったのだろう。何と答えて良いか分からず、言葉を失った様子の彼に軽く頭を下げ、俺は今度こそその場を立ち去ったのだった。

さて、そんな出来事があってから一週間ほどが経ち、俺は自分で匂わせた言葉通り、あの会社のライバル企業と契約を結ぶ運びとなった。俺の取得した特許工法を独占的に扱えたことで、そのライバル企業の業績は右肩上がりとなり、相当な利益を出したらしい。

ちなみに、一度は成立した俺との契約を勝手に破棄し、会社に多大なるマイナス影響を与えたとして、相原部長は部長職を剥奪の上、平社員として片田舎の小さな出張所へと左遷されたと風の噂で聞いた。また、あの時の担当者も、今は会社を辞めて他業種にて無事に再就職を果たしたようである。相原元部長はともかく、担当者のその後のことは気になっていたので、その話を聞いて俺はほっと胸を撫で下ろしたものだ。

そしてあれから、俺の会社は駅前の再開発をなんとか成功させたことで、業界内でも存在感を増し、一定の評価を受けることとなった。ただ、今回のゴタゴタで俺は改めて思ったのだ。もしまたこのような大きな案件をオファーされた時は、今度こそ自社のみで仕事を受けられるように、会社の規模も拡大を図っていくべきではないかと。そうなればきっと、今よりも仕事の幅が広がり、さらに様々なことが実現しやすくなるだろう。

まあ、実績だってまだまだこれからだけど、目標は高くあって。父さんも言ってたもんな。

このところの忙しさが落ち着き、俺は今日、久しぶりに父の墓前に手を合わせている。真面目で堅実な父だったが、目指す山は大きい方がいいと、俺には常々言っていた。一歩一歩。その山を社員たちと共に登っていったその先に待つ景色は、何よりも素晴らしいものだからと。

「どこまでできるか分からないけどさ、俺、これからも頑張るから。だから父さんも、どうか俺たちのことを見守っていてくれよな」

するとその時、そう呟いた俺の顔を撫でるようにして、一人の風が吹いた。それが亡き父からのエールのようにも思えて、俺は思わず目頭を熱くしながら、しばし父との思い出に浸るのだった。

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