かナさんが泊まりに来た日の夜。私の机の引き出しから、亡き父との写真を取り出して、彼女はこう言った。「お義姉さん、父と浮気してたんですか?私、知ってるんです。全部。」翌朝、夫は私を無視し、かナさんは勝ち誇った笑顔で囁いた。「お父さんも、お母さんも、あなたに殺されたのよ。私は、あなたを許さない。」私は何も言えず、ただその場に立ち尽くしかけた。でも、そのとき、私はあることに気づいてしまった。かナさ…

かナさんが泊まりに来た日の夜。私の机の引き出しから、亡き父との写真を取り出して、彼女はこう言った。「お義姉さん、父と浮気してたんですか?私、知ってるんです。全部。」翌朝、夫は私を無視し、かナさんは勝ち誇った笑顔で囁いた。「お父さんも、お母さんも、あなたに殺されたのよ。私は、あなたを許さない。」私は何も言えず、ただその場に立ち尽くしかけた。でも、そのとき、私はあることに気づいてしまった。かナさ...

「かナさんがそれなりにいいお酒とおつまみを用意しておいてくださいって言ってきたんだけど、ちょっと図々しくない?」
Aにそう言った瞬間、玄関のチャイムが鳴った。時計を見ると、まだ夕方の5時。裕二君もかナさんも、出かけてからまだ2時間も経っていない。

「はーい」とAが玄関に向かうと、そこに立っていたのはかナさん一人だった。
「あれ、かナさん。どうしたの?友達と遊びに行くんじゃなかったの?」
「あ、そうなんですけど、ちょっと用事を思い出して。あ、それよりお義姉さん、いる?」
かナさんが私の名前を呼ぶ声に、嫌な予感が走った。リビングに戻ると、かナさんは私の化粧台の前に立っていた。いや、正確には、私の机の引き出しを開けた状態で。

「何してるんですか?」
慌てて駆け寄ると、かナさんはニコリともせずに私を見た。
「いえ、ちょっと忘れ物を探してて。あ、そうだ、お義姉さん、これ知ってます?」
彼女が手に持っていたのは、私が昔大切にしまっていた、Aと付き合う前の写真。そこには、私と写っている男性がいた。かナさんの顔が、ふっと冷たい表情に変わる。

「この人、私の父ですよ。お義姉さん、父と浮気してたんですか?私、知ってるんです。全部。」
その言葉に、私は何も言えなかった。

翌日、Aは出張で家を空けていた。裕二君とかナさんは、私と二人きりの夕食を取ることになった。かナさんは、夕食の準備をしている私の隣に立ち、突然こう言った。

「お義姉さんってさ、本当はAさんより私の父の方が好きだったんでしょ?」
「は?何言ってるの?」
「だって、父が亡くなる前に、お義姉さんが父に送ったメッセージ、見たことあるもん。『あなたに会えて幸せでした』って。Aさんにそんなこと言ったこと、一度もないでしょ?」
私は震える手で包丁を置いた。かナさんの目は、どこか勝ち誇っていた。

その夜、お風呂から上がると、リビングのテーブルにスマホが置いてあった。かナさんのスマホだ。画面には、私がさっき母と話した内容がメッセージアプリで表示されていた。
「お義姉さんのスマホ、パスワード簡単すぎますよ。Aさんの誕生日でしょ?バレバレです。」
そう言って、かナさんは私のスマホを振って見せた。

「Aさんに全部送信済みです。今頃、Aさん、どんな顔してるのかな?」
その瞬間、玄関の鍵が開く音がした。Aが帰ってきた。かナさんは、わざとらしく私に近づき、声を潜めて言った。

「さて、どっちの話を信じるか見ものですね。」
Aがリビングに入ってきたとき、かナさんは涙を拭くような仕草をしていた。
「お義姉さんが、私のお父さんの悪口を言うから…悲しくて。」
私は何も言えなかった。Aの目が、冷たく私を見つめていた。

翌朝、かナさんは裕二君と一緒に帰る準備をしていた。Aは私を無視し、玄関で二人を見送ろうとしていた。
「あ、そうだ。お義姉さん、これ、昨日の写真ですよ。Aさんにも見せたんで、いらないですよね?」
かナさんが差し出したのは、私と彼女の父が写ったあの写真。裏には、こう書いてあった。
「また会える日を楽しみにしています。」

Aがその写真を手に取り、私を見る。
「さやか、これ、どういうことだ?」
かナさんは、口元に笑みを浮かべながら、そっと私にだけ聞こえる声で言った。

「お父さんも、お母さんも、あなたに殺されたのよ。私は、あなたを許さない。」
そう言って、かナさんはニコリと笑った。

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