部長に毎日「高卒」と罵られ、理不尽な仕事を押し付けられる日々。耐えかねて証拠を突きつけたその日、部長は意外な言葉を漏らした。「お前が一番仕事ができるから潰した」。その瞬間、私は怒りよりも興味が勝った。私は開きかけたパソコンを閉じ、別の提案を持ちかけた。部長の顔に初めて動揺が走る。「こちらが本命です」。私の言葉に、部長は何を思ったのか。 CTA:…

部長に毎日「高卒」と罵られ、理不尽な仕事を押し付けられる日々。耐えかねて証拠を突きつけたその日、部長は意外な言葉を漏らした。「お前が一番仕事ができるから潰した」。その瞬間、私は怒りよりも興味が勝った。私は開きかけたパソコンを閉じ、別の提案を持ちかけた。部長の顔に初めて動揺が走る。「こちらが本命です」。私の言葉に、部長は何を思ったのか。 CTA:...

「おい、高卒。この案件、明日までに処理しておけ」

その言葉を聞いた瞬間、俺の手は書類を受け取る前に止まった。35歳の係長、小野。施設育ちで、養父母に引き取られた俺は、大学に行くお金を家計のために譲り、高卒でこのIT企業に入った。技術は認められ、係長まで昇進した。だが3年前、社長が代わってからすべてが変わった。大卒必須の方針。そして1年前、新しく開発部のトップに就任した伊藤部長。

この部長は、技術の知識が浅いくせに、自分の方が優秀だと信じて疑わない。俺が設計したシステムに不具合が起きた時も、何の根拠もなく俺のせいにした。それ以来、毎日のように理不尽な仕事を押し付けられる。

「こんな簡単な仕事もできないのか。これだから高卒は」

言い返したい気持ちを飲み込み、俺は書類を受け取った。だが、その時、部長の机の上に置かれた書類が目に入った。それは俺が設計したシステムの監査報告書。その内容に、俺は息を呑んだ。部長は重大なミスを隠蔽していたのだ。

「この報告書、提出するんですか」

思わず口にした俺に、部長は冷たい目を向けた。

「余計なことを言うな。これは俺が責任を持って処理する」

その日の夜、俺はシステムのログを調べた。部長のミスは過去にも何度もあった。だが、すべて俺のせいになっている。悔しさで拳を握ったその時、ふと気づいた。部長のミスの記録が、俺の設計を完璧に無実だと証明していることに。

翌朝、俺は部長のオフィスに向かった。資料を机に置き、静かに言った。

「部長。このシステムの不具合は、あなたの設計ミスです。私は証拠をすべて持っています」

部長の顔色が変わる。だが、彼はすぐに笑みを浮かべた。

「ふん。お前の言うことなど、誰が信じると思っているんだ。社長は俺の味方だぞ」

その言葉に、俺はノートパソコンを開いた。画面には、社長宛のメールの下書き。添付ファイルは、すべての証拠だ。俺は送信ボタンに指を置いた。

「社長に送る前に、ひとつ聞きたいんですが」

部長は黙ったまま俺を見つめた。その目には、わずかな動揺が走っていた。

「あなたは、なぜ私にここまでするんですか」

部長はしばらく沈黙した後、低い声で答えた。

「お前が一番、仕事ができるからだ。潰す価値があると思ったからだ」

俺はその答えを聞いて、ゆっくりとパソコンを閉じた。そして、部長に向かって言った。

「なら、少し違う方法を考えましょうか」

Thumbnail