「年だけ食ってる役立たずはお荷物なんですよね。この人、俺より年上なんですけど、使えないんで俺のパシリにしてます。」
大手清涼飲料メーカーの営業部。海外赴任から戻って一ヶ月、俺は後輩の長嶋に毎朝コーヒーを淹れさせられ、ゴミ箱の掃除まで押し付けられていた。彼は一流大学を出たエリートで、自分より立場の弱い人間を見つけては徹底的に支配したがる男だった。
重要な取引先との相談の場でも、長嶋は隣に座る俺の後頭部を叩きながら高笑いし、「コーヒー一杯まともに入れられないとは。何の取り得もないクズですよね」と侮辱の言葉を重ねた。
会議に同席していた神岡彩子は、一切笑わず氷のような視線で俺たちを見つめていた。その切れ長の瞳には、怒りの炎が揺らめいているように見えた。
「あの、それ以上の侮辱はやめてくださる?」
突き通るような冷静な声が、会議室の空気を一変させた。長嶋が驚いた顔で振り向く。
「あなたに何の権限があってそのようなことをされているのか分かりませんが、見ていて非常に不愉快です。なぜなら彼は私の……」
その言葉の先を聞いた瞬間、長嶋の顔色が真っ青に変わった。彼女の口から飛び出したのは、会社全体を巻き込む大事件の幕開けとなる衝撃の事実だった。



