義父が亡くなって3ヶ月後、夫の給料はすべてギャンブルに消えていた。生活費が足りないと言っても、「俺にはギャンブルが必要なんだ」と開き直るばかり。義母に相談すると、「男には付き合いがあるのよ」と笑われた。ある日、私の部屋から服が消え、貯金通帳が無くなっていることに気づいた。問い詰めると、義母は堂々と言った。「息子のために使ったのよ。あんたの金も、結局はうちの息子のものだからね」。夫は何も言わず…

義父が亡くなって3ヶ月後、夫の給料はすべてギャンブルに消えていた。生活費が足りないと言っても、「俺にはギャンブルが必要なんだ」と開き直るばかり。義母に相談すると、「男には付き合いがあるのよ」と笑われた。ある日、私の部屋から服が消え、貯金通帳が無くなっていることに気づいた。問い詰めると、義母は堂々と言った。「息子のために使ったのよ。あんたの金も、結局はうちの息子のものだからね」。夫は何も言わず...

夫と義両親の関係は、初めからどこか歪んでいた。義父は厳しい教師のような男で、夫は幼い頃から「常に1番を目指せ」と言われ続けて育ったらしい。平凡な家庭で比較的自由に育てられた私には、その緊張感は想像もできなかった。義父が亡くなったのは、私たちが結婚して3年目のこと。高血圧の薬を飲み続けていたのが原因だろう。「ようやく解放された」――夫の横顔はそう語っていた。

だが解放されたからといって、すべてが良い方向へ向かうわけではなかった。夫はギャンブルの沼にどっぷりとはまり込んだ。大手企業の営業マンである彼の給料は、貯金と生活費を差し引いた残りを各自が自由に使う約束だった。十分な小遣いのはずなのに、足りなくなったのか、夫はまず生活費に手を出した。食事代、光熱費の立て替え。理由は様々だったが、嘘をつくようになったら後は転がり落ちるだけだった。

「かわいそうな人だ」と私は思った。ギャンブル依存症は周囲が徹底的に管理すれば改善する――そう本に書いてあったから、私はその方法を試してみようとした。一度愛した人を見捨てるのは心苦しいものだ。だが「家計は私が管理する」と言った瞬間、夫は怒鳴った。「ふざけんなよ。俺の金を取るつもりか」。依存症について説明しても、「俺を病人扱いするのか」「俺の母親でもないのにうるさいんだよ」と逆上され、結局生活費をギャンブルに注ぎ込むのを止められなかった。

義父が亡くなって3ヶ月もすれば、夫は給料をまるまる継ぎ込むようになった。だが義母はその状況をまるで知らない。夫は義母に自分の悪い部分を見せない。義母は夫をひたすら甘やかし癒してくれる存在で、厳しかった義父とは真逆だからだ。夫がギャンブルについて言い訳をするのは、心のどこかに罪悪感があるからだろう。そして、その罪悪感の矛先は決まって私に向けられた。

義母は元々私を嫌っていた。一人息子である夫を、義父が厳しいからと過保護に育ててきた彼女にとって、私は夫から彼女を奪う存在でしかなかった。私が夫の浪費について口出ししたと知ると、義母は私を呼びつけて説教した。「夫のやることにいちいち文句を言ってはだめよ。嫁は夫を見守ってあげる存在なのよ」「うちの子は繊細なの。ひどい言葉なんて普段言えない子なのに」「あなたって本当に最低の嫁ね」。

ギャンブルについて「きちんと向き合ってほしい」と伝えた途端、義母は鼻で笑った。「まあ、随分大げさね。ギャンブルの1つや2つ、男の人にはお付き合いだってあるでしょ。余計な口出しばかりしないで、家事の腕でも磨きなさい」。さらに、「お部屋の中も時々チェックしているけど、ひどいあり様よ。誇りだらけだわ」と言い放った。私は驚いて尋ねた。「私の部屋に勝手に入ったんですか? まさか、私の服がなくなっていたのも…」。

義母は悪びれる様子もなく、「あら、それが」と続けた。私が長年かけて集めた服やバッグが、いつの間にか義母の部屋に移されていたのだ。しかも、それだけではなかった。義母は私の貯金通帳を見つけ出し、夫のギャンブル代に充てるために勝手に500万円を引き出していた。私は言葉を失った。怒りで手が震えた。義母に問い詰めると、彼女は開き直って言った。「息子のために使ったのよ。あんたの金も、結局はうちの息子のものなんだからね」。

夫に知らせると、彼は私の話を最後まで聞かずにこう言った。「母さんがそんなことするわけがない」。私は証拠の通帳を見せたが、夫は顔を背けた。「お前が何か勘違いしてるんだよ」。それだけだった。義母は私を「500万なんて頭がおかしい」と逆上し、逆に私が嘘をついていると言い出した。結局、夫も義母の味方をした。「母さんを責めるな」と。

私はひとりで弁護士に相談した。義母の行為は明らかな横領だ。だが義母は事実を認めず、私が貯金を無駄遣いしたと周囲に吹聴した。夫は黙ったまま、私を無視し続けた。私は実家に戻ることにした。荷物をまとめる間、夫は一度も顔を出さなかった。義母からは「出て行って正解よ。息子にはもっとふさわしい人がいるから」とメッセージが届いた。

離婚届を出す直前、夫から電話があった。「母さんが悪かった。許してくれ」。だがその言葉の後ろで、義母の声が聞こえた。「何言ってるの、あんたが謝ることないでしょ」。私は受話器を置いた。涙は出なかった。ただ、これまで私が「家族」だと思っていたものが、初めてはっきりと見えた気がした。

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