突然、低正規の営業部長から電話がかかってきた。聞き覚えのない名前だった。新しい部長らしいが、取引に関する大事な話だという。胸の奥に嫌な予感がよぎったが、取引先の話とあれば無視はできない。俺は約束の時間に先方の本社ビルを訪れた。
応接室に通されて、まだ若い男がふんぞり返ったまま口を開いた。
「オタクとはもう契約終了で。底辺の下請けとは付き合えませんから」
その言葉に、俺は一瞬時が止まったかのような感覚を覚えた。
俺の名前は朝倉は斗。地方で部品製造を行っている朝倉テックの社長だ。と言っても、ただの町工場の親父というわけじゃない。俺はこれまでに10社以上の製造系企業を立ち上げ、今はそれらを束ねるグループ会社の代表でもある。それぞれの会社には独自の強みがある。ある会社は精密な切削加工を武器に、ある会社は熱処理や表面処理の分野で高い技術を誇る。中には他者が真似できない特許を持っている企業もあり、俺たちは大手メーカーからの要望に答えながら最前線で物づくりを支えてきた。
だが表向きに目立つことは少ない。俺自身、現場の空気が好きで、表に立つよりも職人たちと飯を食っている方が落ち着く。だからこそ、今メインで動かしている朝倉テックも、あくまで町工場らしさを大切にしてきた。この会社は5年前に立ち上げたもので、主に精密部品の試作やユニット組み付けを手掛けている。その中でも特に大きな取引先となっていたのが低期、言わずと知れた自動車部品の大手メーカーだ。
きっかけは、彼らの新規ライン立ち上げにおける部品の供給だった。他社では不良率が高くなかなかうまくいかなかったところに、うちの加工技術が評価されて声がかかった。それからというもの、信頼を重ね、今では低期の複数ラインでうちの製品が使われている。
もちろん、その取引がうまくいったのは担当してくれた営業部長の存在も大きかった。あの人は現場に理解があって、こちらの状況にもきちんと配慮してくれた。現場と信頼で築く物づくり。そんな言葉が自然に通じ合える相手だった。だが、新しい部長は違った。
契約終了。底辺の下請け。俺の長年の信頼と努力を、その一言で踏みにじられた。
俺は何も言い返せず、ただその場を立ち去った。だが、このまま黙って引き下がるつもりはなかった。俺はこの先も奢らず誠実に向き合っていく。仲間の信頼と技術を武器に、真正面からこの世界に立ち続ける。それが俺の役目であり、何よりの誇りだ。
最後までご視聴ありがとうございます。もしよければチャンネル登録よろしくお願いいたします。また次の動画でお会いしましょう。



