うちの嫁ぎ先が、私を除いて豪華な家族旅行に行ってたんです。いいえ、ただの旅行じゃない。夫からは「今週末は休日出勤」とLINEが来ていたのに、その写真には夫が義母の肩を抱いて満面の笑顔で写っていました。しかも、旅行先は福岡の叔父一家まで呼んでる。ただ私だけが、その場にいなかった。数え切れないほど味わってきた「忘れられた嫁」感覚。でもね、私はその日、心が完全に冷え切ったの。そして、黙って行動に移…

うちの嫁ぎ先が、私を除いて豪華な家族旅行に行ってたんです。いいえ、ただの旅行じゃない。夫からは「今週末は休日出勤」とLINEが来ていたのに、その写真には夫が義母の肩を抱いて満面の笑顔で写っていました。しかも、旅行先は福岡の叔父一家まで呼んでる。ただ私だけが、その場にいなかった。数え切れないほど味わってきた「忘れられた嫁」感覚。でもね、私はその日、心が完全に冷え切ったの。そして、黙って行動に移...

玄関の鍵を回した瞬間、私は何かがおかしいと直感した。普段なら夫の淳平がゲームをする音や、義母の由惠さんが高い声で夕食の支度を指示する声が聞こえてくるはずだった。しかし、今日私を迎えたのは不気味なほどの静寂だった。

リビングには誰もおらず、食卓にはフルーツバスケットひとつなく、冷蔵庫には「家族で食事、待たずに夕食を食べて」というメモが貼られていた。これで三度目だった。義理の家族が家族の集まりに私を呼ぶのを「忘れた」のは。

最初は間違いだと思った。二回目の時、夫の淳平は「母さんが君が残業だと思ったみたいなんだ」と言い訳した。そして三回目の今回、彼らは私に連絡するのを忘れた。いや、忘れたふりをした。

親友のミキから電話がかかってきて、義理の家族が高級料理店で豪華に食事をしているのを見たと知らせてくれた。彼女の声には怒りがこもっていた。私は出来上がったカップラーメンをかき混ぜながら、ただ「ああ、今日家族の集まりがあるみたいね」と答えた。

その夜、淳平が帰ってきて「母さんが忘れっぽいだけだ」と言い訳をするのを聞きながら、私は心の中で何かが冷めていくのを感じた。彼は私の気持ちを理解しようともせず、すぐにいびきをかき始めた。

私はその夜、一睡もせずに決意した。もうこれ以上、我慢しないと。

母の家に相談に行くと、母は驚くべきことを言った。「うちの娘がやっと分別がつくようになったから笑ってるのよ」と。そして、古い鉄の箱から父の生命保険の証書と、この数年、義理の家族が私をどう扱ってきたかを詳細に記録したノートを取り出した。

母は言った。「あなたにただ我慢しろと教えたわけじゃない。適切な時を待っていたのよ。今こそ、冷静に行動する時が来た」

母は私に三つのことを指示した。感情を表に出さないこと。彼らの仕打ちをすべて記録すること。そして、大切なものを少しずつ実家に移すこと。母の目は、私が今まで見たこともないほど鋭かった。

家に戻ると、義姉のみさがソファで私が新しく買った湯のみでお茶を飲んでいた。「昨日の集まり、あなたがいなくて母さんが寂しがってたわよ」と彼女は言った。私は笑顔を保ち、ポケットの中でボイスレコーダーのスイッチを入れた。彼女は「どうせあなたは安物しか使わないから」と言って、私の化粧台に見慣れない高級化粧品を置いていった。

私は母が教えてくれた通り、相手の痛いところを突いた。「みささん、旦那様、最近お元気ですか?」彼女の夫は昨年会社を首になっていた。彼女の顔色が変わり、話を逸らした。

それから私は、弁護士に相談した。林弁護士は、淳平が結婚後にこっそり両親に送金したお金が夫婦の共有財産に該当する可能性や、義母が借りていった金のネックレスを返してもらう権利があることを教えてくれた。そして「証拠を集め始めることです」と言った。

週末、淳平が実家に食事に行った隙に、私は父の形見の時計や卒業証明書、貴重な宝石を少しずつ実家に運び始めた。母が「あなたはまだ淳平さんのこと愛してるの?」と尋ねた。「分からないわ。でも、こんな風に一生は生きられないってことは分かる」と私は答えた。

その後、誘拐に近い形で真実を知った。ミキが送ってくれたインスタグラムの投稿には、義理の家族がリゾート地で楽しんでいる写真があった。淳平も写っていた。彼は私に「今週末は休日出勤だ」と嘘をついていたのだ。私はその時、確信した。彼らは最初から私を家族として見ていなかったのだと。

私は計画を実行に移した。病欠を取り、荷物をまとめ、実家に戻った。置き手紙は「実家に数日帰ります。心配しないで」の一言だけ。私はわざと充電器を枕元に置いてきた。連絡が取れないことが、言葉よりも強力なメッセージになることを知っていたからだ。

実家に着くと、母は温かい牛乳を用意して待っていてくれた。母は「少し休みなさい。話したいことは起きてからにしましょう」と言った。私は子供の頃から使っていたベッドに横たわり、深い眠りに落ちた。

目が覚めると、携帯には不在着信が何件も入っていた。淳平から、義母から、みさから。LINEも無視し、私は電源を切った。母のアドバイス通り、彼らを「生殺し」にするためだ。

林弁護士からは、新たな情報がもたらされた。義母が私の行方を探るために弁護士事務所に電話をかけてきていたのだ。林弁護士はそれを逆手に取り、録音することにした。

数日後、淳平が直接母の家に訪ねてきた。彼は憔悴しきっていた。「さゆりがクローゼットの服を半分も持っていったんです。もしかして離婚しようとしてるんでしょうか?」と彼は母に尋ねた。その声には、これまで聞いたことのない焦りが滲んでいた。

私は隣の部屋で息を殺して聞いていた。彼は「俺が最近忙しすぎたからかな」と原因を的外れなことばかり言っていた。彼は私がなぜ怒っているのか、まったく分かっていなかった。

私は淳平にLINEで「考える時間が必要なの。探さないで」とだけ送り、電源を切った。

その後、みさから電話があった。義母が私の行方を探していると言い、「女は離婚したら価値が下がる」と宣った。私は我慢の限界だった。「小姑さん、どうして田中家は毎回家族の集まりに私を呼ぶのを忘れるのかご存知ですか?」と尋ねると、彼女は言葉を失った。

私は彼女に伝えた。「淳平さんに伝えてください。私には最低でも1週間、1人の時間が必要だと。その間、私を探さないで欲しいと」

そしてついに、林弁護士から衝撃的な事実がもたらされた。義理の両親が今住んでいる家は、私の父が保証人となって購入されていたのだ。そして、父はお金の取り立てに行った直後、交通事故で亡くなっていた。義父は偽装工作のために運転手を雇ったことを認めた。

全てが繋がった。義理の家族の無視も、苛立ちも、その背後には、私の父を奪った罪悪感と、私への軽蔑があったのだ。

私は警察に被害届を出し、父の事件の再調査を依頼した。淳平は両親と決別し、自分の父親を警察に通報した。彼は「正しいことと間違っていることのためだ」と言った。

あの日、私は家を出るとき、父の形見の時計を胸に抱えた。今、私はその時計を身につけている。あの時計は、私に父の無念を思い出させる。義理の家族は、私の家族を壊した。その罪は、決して許されることはない。

私は、彼らに借りているものを返してもらうつもりだ。父の命と引き換えに奪われた、私たち家族の幸せを。

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