夫からの電話に出た瞬間、彼は笑いながら言った。「お前のクレカ、俺が持ってるよ。300万使う予定だから、支払いよろしくにな」私は静かに返した。「解約したよ、ついでに離婚もしておいた」彼は嘘だと思って笑い飛ばしたけど、私は全部知っていた。夫と姉が企てた海外旅行、私のクレカでの支払い、そして2人の浮気も、すべて計画通りに進んでいた。彼らは帰国する手段を失い、今にも崩れ落ちそうな声で助けを求めてきた…

夫からの電話に出た瞬間、彼は笑いながら言った。「お前のクレカ、俺が持ってるよ。300万使う予定だから、支払いよろしくにな」私は静かに返した。「解約したよ、ついでに離婚もしておいた」彼は嘘だと思って笑い飛ばしたけど、私は全部知っていた。夫と姉が企てた海外旅行、私のクレカでの支払い、そして2人の浮気も、すべて計画通りに進んでいた。彼らは帰国する手段を失い、今にも崩れ落ちそうな声で助けを求めてきた...

夫の徹夜から電話がかかってきたのは、夕食の支度を終えたばかりの時間だった。画面に表示された名前を見た瞬間、嫌な予感がした。案の定、彼の第一声は笑い声だった。
「ゆい、お前のクレカは俺が持ってるよ。海外旅行で使うためにな。300万使う予定だから、支払いよろしくにな」
徹夜は今、私に内緒で親族と海外旅行中らしい。岐阜の誕生日祝いとして、夫と私の姉が計画した旅行らしいが、費用は私のクレカで全額負担するつもりのようだ。
普通ならぶち切れるところだろうが、私は淡々とした口調で事実だけを伝えた。
「くれからなら解約したよ。ついでに離婚もしておいた。別に300万使ってもいいけど、徹夜が自分で払ってね」
「解約離婚? そんな嘘信じると思ってんのか。何強がってんだよ」
思った通りの反応ね。どうせ徹夜は信じないと思ってた。でも信じるか信じないかなんてどうでもいい。あなたが困ればそれでいいの。このままだと海外に閉じ込められるでしょうけど、もう私は他人なので助けないわ」そう言って電話を切った。
徹夜にとって最悪の旅行になるだろうに、どこまでバカなのかしらね。まあ、私には高都合これで夫が地獄に落ちることが確定したわ。
翌日、夫から鬼のように大量の着信が来た。思ったより早かったなと思いながら、あえてする。不在着信が50件に達したタイミングで電話に出た。
「やっと出たな実は両親と親族たちがホテルに帰って来ないんだ。電話しても繋がらないし。ゆいなんか知らないか? 」
「あら、今頃気づいたの? 大丈夫よ。心配しないで。親族の皆さんは揃って帰ってきたわよ」
「待て待て。何言ってんだよお前。みんなが帰告するわけないだろ。俺がいるのに」
「知らないなら知らないって言えよ。時間の無駄だろうが」
「やっぱり信じないか。じゃあこれを見てくれる?

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百聞は一見にしかずって言うしね」
私はスマホを操作し、テレビ電話に切り替えた。すると夫のポカンとした表情が画面に移った。その背後には、私の隣に座る両親と親族たちの姿があった。
「はあ、なんでだよ、なんでゆいの隣にみんながいるんだ」
「マジで帰国したのか? 」
「私は最初から冗談も嘘も言ってないわよ。確かに親族たちは帰国し、今私の隣にいるの」
全員が鬼の形相でテレビ越しに夫を睨んでいた。ますます夫は混乱し、合わせを書き始めた。それを見た義父が口を開く。
「おい、徹や、お前は言ってたよな、俺の金でみんなに海外旅行をプレゼントするって。でも実際はゆいさんのクレカを盗んで使うつもりだったんだろうが」
「いや、クレカを盗んだなんて人聞きの悪い。ちょっと借りただけだよ。後で返すつもりだったんだ」
夫は嘘を並べ始めたが、そんなことをしても無駄なのに、すでに夫は積んでいるからだ。
「分かったわ、徹や、日本に帰ってきたら話し合いをしましょう。電話じゃみんなも納得できない様子だし」
「そ、そうだな、その方が良さそうだ、すぐに帰国するから待っててくれ」
そう言って夫は電話を切ったが、10分ほどするとまたかかってくる。
「おい、クレカが使えなかった、解約したってマジだったのか」
「あなたが海外に着いたタイミングで解約したのよ、24時間前くらいかしらね。ちなみにあなたが私のクレカを盗むことは予想していたわ、だから先に手を打っておいたの」
「嘘だろ、絶対にバレてないと思ったのに」
「あとさっき気づいたんだけど、俺のクレカが偽物にすり替わってた、これもお前の仕業か? 」
「大正解、なかなかよくできてるでしょ、まあ、ちゃんと確認したらすぐに分かることだけどね」
「ふざけんなよ、人のクレカを盗むなんてありえないだろうが、犯罪だぞ」
「特大ブーメラン投げないでくれる? あなたが先に私のクレカを盗んだんでしょうが」
「俺は盗んだんじゃない、さっきも言ったけど借りようとしてただけだ、それに夫が嫁のクレカを使って何が悪い?


テレビ電話に繋いでいないので、夫は言いたい放題だ。たとえ夫婦関係であっても、私のクレカを使うなら事前に相談するべきだし、勝手に使うなんてありえない。やはり夫にはきつい仕置きが必要だわ。
「とにかくこのままだと日本に帰れない、お前が責任とってな、何とかしろよ」
「私は仕事でそっち行けないから無理ね、他の誰かに頼めば? 」
「他の誰かって誰だよ、親族はみんな帰国したんだろうが、ここには俺しかいない、さっさと金を送れよ」
電話が壊れるんじゃないかと思うくらいの怒声だ。よっぽど焦っているのだろう。ただ残念なことに、私の反撃はここからが本番だ。
「何を言ってるの? 徹や、まだそっちに1人だけ帰国していない人がいるでしょう、私の姉マキよ、あなたの浮気相手でもあるわね」
直後、あれだけ騒がしかった夫の声がぴたりと止んだ。浮気に気づいていることは想定外だったのだろう。
「あなたと姉には言いたいことが山ほどあるの、早く日本に帰ってきてくれないかしら? 」
「え、いや、実はまきさんもお金を持ってないんだよ、だからこのままだと帰れないんだな、よい改めて頼むよ、金を送ってくれ」
「ごめんなさいね、実は姉がお金を持っていないことも想定済みなの、だって徹やは姉に何でも買ってあげてたでしょう、私のクレカを勝手に使ってね、だから旅行費も徹やが出すと思ってた、さっきも言ったけど、このままだと海外に閉じ込められるわね、姉と2人きりになれるからいいんじゃない?


ここでようやく自分の立場を理解したのか、夫は完全に沈黙してしまった。300万使う予定だから支払いよろしくと言っていたくせに、その勢いを完全に失っている。
やがて、恐る恐る夫が口を開いた。
「あの、ゆいさん、いや、ゆい様、なんとかならないでしょうか、このままだと俺たちは日本に帰れないわけで、先ほどは大変失礼な発言をしてまい、申し訳ございませんでした、どうか助けてください」
それは見事な手のひら返しで、笑いをこらえるのに必死だった。ただこうなることは想定内だったので、私は次なる計画を実行する。
「仕方ないわね、じゃあ私の知り合いにホテル経営者がいるから連絡してあげる、ちょっと待ってて」
そう言って一旦電話を切り、秘書の山本さんにホテルへ連絡を入れてもらう。山本さんはいつものように迅速に対応してくれ、数分で夫に折り返すことができた。
「なんとかなったわよ、今から伝える場所に行ってちょうだい、そこで皿洗いしたら特別に支援してくれるそうよ」
「そっか、ありがとう、俺頑張るよ、じゃあ明日にはそっちに帰るから」
「え? 何言ってるの? 明日帰れるわけないじゃない、1ヶ月よ、1ヶ月皿洗いしてきなさい、じゃあ頑張ってね」
「い、1ヶ月? そんなの聞いてない、おいおい、電話を切るな」
私はお構いなく電話を切った。案の定、夫から大量の着信が入ったが、私はそっとスマホの電源をオフにする。のまま簡単に帰国させてしまっては私の気が済まない、夫と姉には自分の行いを嫌と言うほど後悔させる必要があるのだ。
そして次に私が電話に出たのは1ヶ月後だった。夫だけでなく、姉もぶち切れていた。
「ゆい、お前ふざけんなよ、地獄のように忙しかったじゃねえか」
「毎日のように怒鳴られたわよ、英語だったから何言ってるのか分からなかったけど、あんたのせいでひどい目に会ったわ」
「まあ、すごく有名なホテルだからね、っていうか、むしろ感謝して欲しいんだけど、2人っきりにさせてあげたんだから、そのまま海外に永住してもいいんじゃない?

ちなみにスタッフたちが怒っていたのは、徹やとお姉ちゃんが私を裏切り浮気していることを知っているからよ、もちろん親族の皆さんも知っているわ、帰国したら覚悟しておくことね」
ブツッという声が電話越しから聞こえる。2人仲良くダメージを受けたようだったが、すぐに反論してきた。
「そっちこそ覚悟をしておけよ、俺たちはただでやられないからな、お前の思い通りにはさせない」
「そうよ、なんだかんだ言っても親族の皆さんは私たちのことを信じてくれるはずよ、こんなこともあろうかと親切に接してきたからね」
そんな捨てゼリフを残し、電話は一方的に切られた。これまで夫と姉は親族に本性を隠していたので、うまく言い訳をすれば言い逃れできると思っているのだろう。でもどれだけ逃げようとしても無駄だって、私は全部知っているのだから。
それから私たちが合流したのは2週間後だった。期間が空いたのは、私に協力してくれた親族たちに温泉旅行をプレゼントしたので、その帰りを待っていたのが理由だ。親族たちは温泉旅行を気に入ってくれ、お土産を買ってきてくれた。でも夫と姉の分のお土産はなかった。2人を許さないという意思表示なのだろう。
そんな夫と姉は無事帰国したようだが、作戦会議でもしていたのか、余裕の笑みを浮かべていた。親族と対面した2人は早速言い訳を並べ出した。
「父さん、母さん、俺とまきさんは浮気なんてしてないよ、俺にはゆいという大事な人がいるんだから」
「妹が勝手に言っているだけですよ、憶測です、憶測、私と哲さんは仲がいいですからね、焼き持ち焼いているんですよ」
言いがかりだとでも言いたげな表情で、夫と姉は浮気を否定する。ただ私から事情を聞いている親族たちは呆れた様子だった。
「俺と母さんも信じたかったんだがな、ゆいさんのクレカを盗んでいたお前を簡単に信じることはできなくなった、海外旅行に連れて行ってくれると聞いた時は嬉しかったんだけどね、まさか奥さんのクレカを無断で使っていたなんて」
「この話は誤解があるよ、俺とゆいは夫婦なんだからさ、俺がゆいのクレカを使ったっていいじゃないか、それに前にも言ったけど、クレカは盗んだんじゃない、借りただけなんだ、後で返すつもりだったんだよ」
よくもまあここまで平然と嘘をつけるものだ、たとえ借りたとしても、後で返すなんて絶対にしないくせに、ただそれについては証明することができないので、私は何も言わなかった。私が黙っているのをいいことに、夫は自信ありげに話を続けた。
「ほら、俺とまきさんはゆいの会社で働いてるだろう、部署も同じで経理担当だ、だから毎日のように顔を合わせるし、自然と話す機会も多い、仕事終わりに飲みに行ったりもしたけど、それって普通でしょ? それをゆいが勘違いして浮気って言ってるだけ」
「そうですよね、まきさん」
「ええ、そうですよ、お父さん、お母さん、ゆいは小さい頃から焼き持ち焼くことが多かったんです、学生時代もゆいが好きになった人と話しているだけで怒ってましたから、私は全然その気じゃないって言っても聞かなくて、困った妹ですよ」
作戦会議をして口裏を合わせてきたのか、夫と姉はスラスラと台本を読むように話していた。夫の言う通り、私はアパレル関係の会社を立ち上げて社長をしている。私は姉にお願いして、起業当初から経理としてサポートしてもらっていた、そんな私の会社に入社した夫と私は結婚、それ以来、私たちは力を合わせて頑張ってきたつもりだった。
「ゆいはさ、ちょっと神経質なんだよ、大体証拠もないのに浮気を疑うなんてたまったもんじゃない、今すぐ訂正してくれ、証拠もないのにね」
「なぜ私がクレカを盗むことを知っていたのか考えなかったの? 」
そう伝えると、自信ありげだった夫の顔に疑問が浮かんだ。それと同時に、私は待機していた人物を呼び出す。の人物は秘書の山本さんだ。山本さんはいつものようにキビキビとした動きで、私たちの前に数枚の書類と写真を並べた。その瞬間、夫と姉の顔色は一瞬で青白くなった。
「山本さんはね、本当に優秀なの、だから私、徹やとお姉ちゃんの監視をお願いしていたのよ、元々は浮気のための監視じゃなかったけどね」
数枚の書類には夫と姉の行動の記録、そして写真には浮気現場がばっちりと映っていた。これはすでに義両親にも見せているので、夫と姉がどれだけ浮気を否定しても、呆れるばかりだったというわけだ。
「卑怯だぞ、ゆい、秘書使ってこそこそと」
「勝手に人のクレカを盗んで姉と浮気するのは卑怯じゃないのかしら、ホテルで皿洗いしている時も姉とイチャイチャしてたくせに」
追い打ちに、私はスマホに保存している動画を再生した。こには夫が姉とイチャイチャしている姿が映っている。実はホテルの経営者にも頼んで、監視と撮影をしてもらっていたのだ,海外で気分が解放的になっていたのか、動画内の2人の顔はゆるゆるだ,それとは対称的に、目の前にいる2人の顔はガチガチだった。
固まってしまった夫と姉に、義両親が怒りをあらわにする。
「言い訳ばかりしよって,徹や、まきさん、自分が悪いことをしたという自覚はないのか? もし自覚がないというのなら、本当に情けないことだぞ」
「なんで浮気なんてしたのよ,ゆいさんは立派に働いているし、家事だっておろそかにしたことないでしょ」
義両親の問いかけに、夫と姉は下唇を噛みながら俯いた,も苦しい空気が広がっていく中、もう言い逃れができないと思ったのか、2人は明らかに開き直った様子だった。
「俺もゆいは立派だと思うよ,でもさ、気づいちゃったんだよね,ゆいは俺がいなくてもいいんだって,やっぱり嫁っていうのは夫を立ててなんぼって言うか,その点、まきさんは俺のこと分かってくれるし,正直言うと,まきさんと結婚したいんだね」
「まきさんも俺と同じ気持ちですよね」
「ええ、そうね,妹に哲やさんはふさわしくないわ,学生時代は勉強だけ,大人になったら仕事だけだし,男性の気持ちなんて分からないのよ,,あんたは浮気されても仕方ないの,浮気されるあんたが悪いの」
2人の本音は、義両親の怒りをさらに高めた,義父は切れそうなほど血管が浮かび上がり、義母は体をブルブルと震わせている。
「ふざけるなよ,浮気する方が悪いに決まっている,自分たちの都合だけでゆいさんを傷つけるなんて、どう考えてもおかしいだろうが,それが家族に対してることなのか」
「お前らに感謝の気持ちはないのか?

本当にありえないわ,恩を仇で返す気か,すぐに謝罪しなさい,たとえ許されなくてもよ」
「そんなに熱くならないでよ,夫婦が離婚するなんて世の中に溢れてるんだから,,それにゆいは俺と離婚して独身になったらしいよ,,ゆい本人も俺との関係を断ち切ったんだから,まきさんと結婚したっていいじゃないか」
「そうですよ,,それにゆいの会社で働いているのは、ゆいが私たちに助けを求めたからです,,どうしてもって言うから手伝っていたんですよ,,だから感謝されるのは私たちの方です,,何も知らないで攻められるのは気分悪いですね」
直後、夫の体が激しく床に叩きつけられた,とうとう義父が夫に掴みかかり、投げ飛ばしてしまったのだ,ドスンと音を立てて夫が床に倒れ込む,それと同時に、親族も立ち上がって夫と姉を囲んでいた。
「徹や、お前を勘当する,まきさんも、2度と俺たちに関わらないでくれ,,ゆいさんの気持ちを考えると、お前たちを一生許せそうにない,,会社もやめろ,,すぐに辞表を書け」
「いってえなあ,,そういうのうんざりするよ,,分かった,,喜んで縁を切ってやる,,もうあんたらにご厄介になるのも面倒だと思ってたんだ,,俺はまきさんがいればそれでいいし,,俺たちなら次の会社だってすぐに見つかるからね,,そっちこそ2度と関わらないでくださいよ,,ゆい、あんたもね、もう妹だって思わない,,助けて欲しいって言っても助けないから」
油を注ぎ続ける夫と姉のせいで、この場は異様な雰囲気に包まれていた,まさに一触即発で空気がピリピリとしている,,でもそんな中で、私だけは冷静だった,私は義両親と親族たちに向き直り、こう告げた。
「皆さん、私のためにありがとうございます,,ですが、もう大丈夫です,,どうか怒りを収めてください」
「ゆいさん、本当にいいのかい? 2人とも全く反省していない,,力づくでも分からせるべきではないか? 」
「いいえ、その必要はありません,,もう何を言っても無駄でしょうし」
私の言葉に、ピリピリとしていた空気は少しだけ緩まった,,私はニコリと微笑み、大丈夫だという意思を伝える,,その様子に、夫と姉だけはニヤニヤとした表情を浮かべた。
「やっぱりゆいの思い通りにならなかったな,,俺たちを怒らせたお前が悪いんだから、恨むなよ,,これでようやくお前ともお別れだな」
「調子に乗るからいけないのよ,,あんたは私に一生勝てないんだから,,じゃあ徹やさんは遠慮なくもらうわね,,残念だったわね、ゆい」
「好きにすればいいわ,,でも最後に一言だけ言わせて,,この先何があっても後悔しないでね,,ここにいる誰もあなたたちのことを助けないから、泣きついても来ないでね」
「最後の最後まで強がりか,,後悔なんてしないから安心しろよ,,それじゃあまきさん、行きましょうか」
結局夫と姉は私の言葉をまともに聞こうともせず、家から出て行ってしまった,義両親と親族たちも、私が強がっていると思ったのか、心配した表情を浮かべていた,,でも強がりなんかではない,,すでに夫と姉は積んでいるのだ,,最後の準備が整えば、2人は嫌でも後悔することになる,,その時が来るのを私は待つだけなのだった。
それから数日もしないうちに、元夫の徹やと姉から連絡が入った,,2人とも今までにないくらい焦っており、すぐに話をしたいと言ってきた,,私は山本さんと共に会社にて2人が来るのを待つ,,そして徹やと姉がやってきたが、顔面蒼白で今にも倒れそうだった。
「ゆい、教えてくれ,,いつからだ? いつから知っていたんだ?

絶対にバレてないと思ったのに」
2人が焦っているところにお構いなく、山本さんに書類を出してもらった,,その瞬間、徹やと姉の顔色がさらに悪くなった,,徹やと姉の目の前に並べた書類は、領収書、帳簿履歴、不正な送金履歴、不適切な請求書,れらは徹やと姉が会社のお金を横領していた証拠だ,,そう、徹やと姉は浮気だけでなく、会社で不正をしていたのだ。
「どうしてバレてしまったのか? 」
答えを求めている2人に、私は順を追って説明した。
「徹や、お姉ちゃん、前にも言ったけど、私は山本さんに2人の監視をお願いしていたわ,,監視していた理由は元々横領を調査するためだったの,,その延長線上で浮気が判明した,,浮気よりも横領の方が先に発覚していたってことよ,,ちなみに横領に気づいたのも山本さんで、社員たちの証言を集めてくれたのも山本さんだ,,本当に彼女は優秀で頼りになる,,私のクレカを盗んで海外旅行に行ってしまうくらいだもんね,,横領をしていても不思議じゃないわ」
「たく、よくも長年騙してくれたわね,,ゆい、悪かった,,1回だけのつもりだったんだよ,,だけど全然バレないから調子に乗ってしまって,,何年かかってもお金は返すから、温情に済ませてくれないか? これからまきさんと幸せになりたいんだよな,,頼むよ」
「本当にふざけた人ね,,自分のことしか考えていない,,だから平気で人を騙せる,,私が徹やを許すわけないでしょう,,これだけのことをしておいて、温情に済ませるなんて笑わせないで,,それにね、徹やは大事なことを見逃しているわ,,これを見たら全てが分かるわよ」
山本さんにアイコンタクトを取ると、彼女は別の書類を取り出し、徹やの前に並べた,,直後、徹やは体全体をブルブルと震わせた。
「う、嘘だろ,,なんだよこれ,,こんなこと信じられない」
そこには姉と男性の姿が映っていた,,その男性は徹やとは別の男性だ。
「徹や、お姉ちゃんと結婚するなんて無理なのだから,,お姉ちゃん、あなたのことを捨てる気だからね,,その男性はホストで、お姉ちゃんの大本命よ,,その人のためにお金が必要だったみたい,,横領を持ちかけたのもお姉ちゃんからでしょ,,つまり徹やはまんまと騙されていたってわけ」
「マジかよ,,まきさん嘘ですよね,,俺、まきさんのために頑張ったのに」
絶望感で満ちた表情で、徹やは姉を見た,,姉は下唇を噛みながら何も言えずにいる,,1度は逃げ切ったと思っていたのに、一瞬で窮地に立たされてしまった,,姉も焦りに焦っていたはずだったが、それでも開き直った。
「別に悲観する必要ないじゃない,,徹やさんは今まで通り私のために働けばいい,,結婚はできないけどね,,それにあなたも妹を騙していたんだから、文句言えないでしょ」
「ふざけんな,,俺がどれだけリスクを背負ってきたと思ってる,,まきさんと結婚できるから無理してきたんだよ,,その仕打ちがこれか,,俺の人生返せよ」
徹やは必死の形相だったが、姉が取り乱すことはなかった,,そんな2人を見て、ふと昔のことが頭をよぎった,,起業した当初は、徹やも姉も頼りになる存在だった,,私が社長として頑張って来れたのも2人のおかげだ,,でもそれも全部嘘だったと思うと、胸にぽっかりと穴が開いた気分だ,,信頼していた人に裏切られるということは、想像以上にダメージが大きかった,,それはきっと義両親や親族たちも同じだろう,,だからたとえ家族であっても、いや家族だからこそ許せない,,人を騙すことを何とも思わない2人には、相応の報いを受けてもらわなければならない,,地獄に落ちることになってもだ。
「横領の弁済と浮気の慰謝料、全額回収させてもらうわね,,それまで、今度は私があなたたちを監視します,,ちなみに会社は解雇するから、再就職は難しいかもね,,でも安心してね,,とってもいいホテルを知ってるの,,あなたたちはそこで私に監視されながら働くのよ,,逃げられると思わないことね」
「ねえ、ゆい、お願いよ,,このままだとお姉ちゃんの人生が終わってしまうわ,,私たち家族でしょ,,見逃してよ,,改めて謝罪させてくれ,,俺が悪かったんだ,,どうかしてたんだよ,,冷静じゃなかったんだよ,,一度夫婦になった仲じゃないか,,頼むよ、許してくれよ」
「2人とも忘れたの?

私は忠告したはずよ,,この先何があっても後悔しないでね,,ここにいる誰もあなたたちのことを助けないから、泣きついてこないでねって,,もう取り返しがつかないの,,お金が問題なんじゃない,,一度失った信用を簡単に取り返せると思わないで」
その瞬間、徹やと姉は操り人形の紐が切れたように崩れ落ちてしまった,,もし2人が最初から罪を認めて謝罪していれば、違った未来があったかもしれない,,でもその未来は2度と訪れることはないと、私は確信するしかなかったのだった。
その後、宣言していた通り、私は夫と姉を海外のホテルに送った,,以前と同じように毎日怒鳴られながら皿洗いからスタートしたらしい,,全額回収まで長い時間がかかるだろうが、2人が反省と後悔をするには十分だと思う,,ただ2人が本気で変わろうとしない限り、同じことの繰り返しだろう,一方、私はと言うと、会社も順調で前向きに楽しんでいる,,しばらくは精神的に辛いものがあったが、なんとか立ち直ることができた,,そうなれたのも、私を支えてくれている全ての人たちのおかげだ,,ありきたりの言葉だが、感謝の気持ちを忘れないこと,,それが大切なのだと私は思っている。