倒れている女性を助けたら、人生がこんなに変わるなんて思わなかった。最悪の別れ方をした元彼女に、新しい会社で再会して、今度は濡れ衣を着せられた時の絶望感。でも、あの日助けた小春さんが、ずっとそばにいてくれた。彼女の一言で、僕の人生は180度変わったんだ。「私と結婚してください」——そう言われた時、僕は気づいた。この出会いのために、ここまで歩いてきたんだって。あの日の選択が、今の幸せに繋がってい…

倒れている女性を助けたら、人生がこんなに変わるなんて思わなかった。最悪の別れ方をした元彼女に、新しい会社で再会して、今度は濡れ衣を着せられた時の絶望感。でも、あの日助けた小春さんが、ずっとそばにいてくれた。彼女の一言で、僕の人生は180度変わったんだ。「私と結婚してください」——そう言われた時、僕は気づいた。この出会いのために、ここまで歩いてきたんだって。あの日の選択が、今の幸せに繋がってい...

「このデータ、明らかに誰かが改ざんしてるわね」

小春さんの声に、俺は思わず息を呑んだ。前職の会社で見捨てられた俺が、こうして新しい職場で必死に働いてやっと掴みかけたチャンス。それが、元彼女の吉永さんの罠だと気づいたのは、合同プロジェクトの資料を確認した時だった。

俺は以前、吉永さんと付き合っていた。彼女の父が社長をしている会社で働いていたのだが、結果を出せない俺を見限って、彼女はあっさりと別れを告げた。そして俺は会社を追われるように辞めることになった。人生どん底だった。だから、急に倒れているおばあさんを助けた時も、それが後の人生を変えるなんて思ってもみなかった。

「大丈夫ですか?」

倒れていたのは、若い女性だった。小春さんと名乗った彼女は、体調が悪そうで、しばらく誰も助けてくれなかったと言った。俺は彼女を公園のベンチに座らせ、水を買ってきてあげた。それがきっかけで、俺たちは話をするようになった。

それから数日後、小春さんから連絡があった。なんと、彼女の父が社長を務める大企業に、俺を紹介してくれるというのだ。驚いた。まさか、あの日の出来事がこんな形で報われるとは思わなかった。

「うちの会社は、雪哉さんのような人材を求めています。ぜひ、お願いできませんか?」

小春さんの紹介で、俺は再就職先が決まった。新しい職場は、前の会社と同業だったこともあり、入社直後から仕事に全力を注ぐことができた。小春さんの父である社長も、とても良い人で、労働環境も前よりずっと良くなった。

「雪哉さん、あなたやっぱりすごいですね」
「いや、たまたまですよ。前職の経験を生かせているだけです」

小春さんに笑顔で褒められると、なんだかやる気が湧いてくる気がした。彼女はいつも優しくて、明るい。俺が仕事でミスをしそうになっても、怒らずに「大丈夫ですよ」と励ましてくれる。そんな彼女と過ごすうちに、俺は次第に彼女に惹かれていった。

ある日、小春さんが突然声をかけてきた。
「雪哉さん、次のお休みって何か予定がありますか?」
「いや、特にないけど」
「もし良かったら、一緒に限定のスイーツを食べに行きませんか?」

デートの誘いだった。俺は緊張しながら待ち合わせ場所に向かった。小春さんはすでに待っていて、俺の姿を見ると嬉しそうに手を振ってくれた。前の彼女とのデートでは、いつも俺が待たされてばかりだったから、この違いに胸が熱くなった。

カフェに着いて、運ばれてきたチョコレートケーキを見て、俺と小春さんは目を輝かせた。小春さんが「仲良く半分こしませんか?」と言って、フォークでケーキを差し出してきた。あーん、ってやつだ。俺は周りの目が気になりながらも、思い切ってそのケーキを口に運んだ。

「美味しい」
「本当ですか?よかった」

小春さんは満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見ているだけで、俺の心は温かくなった。前の彼女との嫌な思い出が、少しずつこの新しい思い出に書き換えられていく気がした。

しかし、事件は突然起きた。前職との合同プロジェクトが立ち上がり、俺が担当者になってしまったのだ。相手には吉永さんがいることが分かっている。俺は嫌な予感がしていた。そして、その予感は見事に的中する。

「このデータが改ざんされていますね」

吉永さんが俺のせいにしてきたのだ。俺が改ざんしたことにされている。小春さんは俺をかばってくれたが、証拠がない以上、相手は強気な姿勢を崩さなかった。

「また君か。本当に失望したよ」

社長も疑いの目を向ける。俺は窮地に立たされた。でも、今回は逃げない。前回みたいに会社を辞めるなんてごめんだ。小春さんに悲しい思いをさせたくない。俺は絶対に真実を見つけ出そうと心に決めた。

俺たちは会社に戻り、膨大な資料とパソコンのデータをくまなく調べた。すると、小春さんがついに決定的な証拠を見つけ出した。

「雪哉さん、これです。吉永さんが改ざんを指示したメールです」

これで、もう言い逃れはできない。俺たちは再度、相手の会社に足を運んだ。小春さんがパソコンで証拠のメールを提示すると、吉永さんの顔色が一変した。社長は娘を叱り、俺の無罪が証明された。

「私を見放した男が大きな会社で調子に乗っているのが許せなかったのよ」

吉永さんは最後まで反省の色を見せなかった。それどころか、俺を侮辱する言葉まで投げつけてきた。黙っていられなかったのは、小春さんだ。

「吉永さん、あなたは当社の大切な社員に濡れ衣を着せておいて、さらに侮辱の言葉まで投げつけるつもりですか?まずあなたがすべきことは謝罪ではないですか?」

小春さんは毅然と言い放った。吉永さんの父である社長も娘を切り捨てた。親が甘やかしたのが原因だと、頭を下げてきたのだ。

こうして事件は解決した。全部、小春さんのおかげだ。俺はもう、彼女への気持ちを抑えきれなくなっていた。だから、会社の後、彼女を呼び出して告白した。

「小春さんのことが好きです。いつも優しくて明るい小春さんのおかげで、人と過ごすことの温かさを思い出せた。小春さんがいなかったら、今回の件も解決できなかった。僕には小春さんが必要です。だから、僕と付き合ってください」

俺の告白に、小春さんの目から涙が溢れた。
「私も雪哉さんが好きです。大好きです。あの日、助けてもらった時からずっと好きでした」

彼女は涙を拭いながら、こう続けた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。ていうか、私と結婚してください」

逆プロポーズだった。俺は思わず笑ってしまった。彼女は照れくさそうにしながらも、俺の腕をぎゅっと掴んだ。こうして俺たちの交際が始まり、数年後、約束通り結婚した。

今では仕事でも結果を残し、次期社長候補として毎日奮闘している。最初に助けたのは俺の方かもしれない。でも、それ以上の恩返しをしてくれた小春さんには、感謝の気持ちしかない。俺はこれからも、彼女のためなら全力を尽くして、愛していこうと思っている。

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