昨日、息子の再婚式で新しい嫁が笑顔で挨拶してくれたばかりだったのに、今朝、玄関のチャイムとともに聞こえたのは、七歳の孫のかけるの泣き声だった。開けると、彼は泥だらけの服で、腕にはあざがいっぱい。「ばあば、僕、もうあの家に帰りたくない」と震えながら言ったんです。話を聞くと、新しいママはかけるを「邪魔だ」と言い、息子の竜太も「お前のせいで再婚が遅れた」と怒るんだそうです。ご飯も一日一回しかもらえ…

昨日、息子の再婚式で新しい嫁が笑顔で挨拶してくれたばかりだったのに、今朝、玄関のチャイムとともに聞こえたのは、七歳の孫のかけるの泣き声だった。開けると、彼は泥だらけの服で、腕にはあざがいっぱい。「ばあば、僕、もうあの家に帰りたくない」と震えながら言ったんです。話を聞くと、新しいママはかけるを「邪魔だ」と言い、息子の竜太も「お前のせいで再婚が遅れた」と怒るんだそうです。ご飯も一日一回しかもらえ...

玄関のチャイムが鳴ったのは、息子の再婚式から一晩明けた朝でした。私はコーヒーカップを手にしたまま、外から聞こえてきた泣き声に足を止めました。声が聞き覚えのあるものだったからです。

扉を開けると、そこには七歳の孫、かけるが立っていました。立っているというより、壁に寄りかかってどうにか体を支えているような状態でした。涙でぐしゃぐしゃの小さな顔、泥だらけの服、そして腕に浮かぶ青紫色のあざ。私の心臓は氷のように固まりました。

「かける、どうしたの?誰にこんなことをされたの?」

私は震えるかけるを抱き寄せました。小さな体は冷たく、ガタガタと震えていました。

「ママが……新しいママが……僕なんかいらないって言ったの。かけるは邪魔だって言ったの……」

かけるの言葉に、私の中で何かが音を立てて壊れました。まさか、自分の息子の竜太が、昨日あれほど幸せそうに再婚式を挙げたばかりの竜太が、実の子供にこんな仕打ちをしているなんて。

かけるの小さな手が私の服を必死に掴みました。

「ばあば、僕、もうあの家に帰りたくない」

その瞬間、私の中で激しい怒りと、この子を絶対に守り抜くという鋼のような決意が生まれました。私はかけるを家の中に入れ、温かいココアを作りながら、震える小さな体を毛布でくるみました。傷の手当てをしようと袖をまくると、腕だけでなく背中にも無数のあざがありました。

「かける、ゆっくりでいいから話して。新しいママはいつからこんなことを?」

「結婚する前から……『あんたみたいな子は邪魔』って言ってた。でもパパの前では優しいふりして……」

かけるの言葉に、私の胸は引き裂かれるような痛みを感じました。

「パパは知ってるの?この傷のこと」

「知ってるよ。でもパパは僕のせいだって言うの。『お前のせいで俺の再婚が遅れた』って怒って……」

信じられない言葉でした。自分の幸せのために実の子供を犠牲にしているなんて。

「ご飯も一日一回だけしか食べさせてもらえないの。新しいママが、お金の余裕はないって言って……」

栄養失調の兆候が見えるかけるの細い腕を見て、私の怒りは頂点に達しました。

「学校には恥ずかしいから行くなって言われたの。かけるがいるせいで学校で笑われるって……」

私はかけるをぎゅっと抱きしめました。この子は何も悪くない。ただ、大人の勝手に振り回されているだけなのに。

「もう大丈夫。ばあばが何とかするから」

その夜、私は息子の竜太に電話をかけました。

「竜太、かけるの体のあざを知っているの?」

「ああ、知ってるよ。転んだんだろ」

「転んでこんなに何度もあざができるの?かけるは新しいママに『邪魔』って言われてるんだぞ」

「そんなことあるわけないだろ。美咲はかけるに優しくしてくれてる。お前が過保護なんだよ」

「過保護?かけるは栄養失調の兆候があるんだ。ご飯も一日一回しかもらえてないって言ってる。これは虐待だ」

「虐待?大げさだな。かけるは嘘をつくんだよ。あいつはいつも嘘つきで……」

私はその瞬間、竜太の声の中に、息子ではなく、息子の肩に乗った知らない誰かの声を聞きました。

「竜太、かけるはお前の実の息子だぞ」

「でも、美咲が言うには……かけるは俺のために生まれた子じゃないって。俺の子供じゃないかもしれないって……」

その言葉に、私は電話を切る手を止めました。

「何て言ったの?かけるはお前の子供よ。生まれたときからずっと……」

「でも美咲が調べたんだ。昔の写真とか、髪の色とか……かけるは俺には似てないって。俺の子供じゃないかもしれないって言われて……」

私は深く息を吸いました。竜太は、新しい妻にそそのかされて、自分の実の息子を疑っているのです。

「竜太、もし信じられないなら、DNA検査をしよう。かけるがお前の子供かどうかはっきりさせよう。それまで……」

「もういい。美咲が言うならそうなんだろう。かけるは俺の子供じゃない。だからもう関わらないでくれ」

私は電話を切りました。聞く価値もない言葉でした。

翌朝、私はかけるを連れて、児童相談所と警察に相談に行きました。医師の診断書をもらい、写真の証拠もそろえました。かけるを守るために、私はすべてを準備しました。

「ばあば、パパはもう僕のことをいらないの?」

「かける、パパがどう思っていようと、ばあばは絶対にあなたを離さないから」

私は法的手続きを進めました。かけるの親権を私に移すための申請を出したのです。

数日後、竜太の新しい妻、美咲が私の家に現れました。

「かけるを返してください。私たちの子供です」

「かけるはあなたの子供じゃない。あなたはあの子を虐待して、竜太に嘘をついた。もうあの子を傷つけさせない」

美咲の顔色が変わりました。

「そんな証拠あるんですか?」

「あるわ。かけるの体のあざの写真、医師の診断書、そしてあなたがかけるに言ったことを録音したものも」

私はかけるが身につけていたボイスレコーダーを取り出しました。かけるが小さなポケットに入れていたものです。「ばあばに話すときのために」と、かけるは言っていました。

美咲の声が白くなりました。

「そんなもの……そんなものが……」

「これで、あなたと竜太がかけるに何をしてきたか、すべて明らかになるわ」

美咲は何も言えずに立ち去りました。

そして、法廷での争いが始まりました。竜太は最初、かけるは自分の子ではないと主張し続けました。しかし、DNA鑑定の結果が出ると、かけるは竜太の実の子供であることが証明されたのです。

その結果を聞いた竜太の顔は、みるみる青ざめました。

「かける……本当に俺の子供だったのか……」

「ずっとそう言ってきたでしょう。あなたは美咲の言葉を信じて、自分の子供を疑ったのよ」

竜太は何も言えませんでした。美咲はその後、虐待の罪で告訴されました。

親権は私に認められました。かけるは私の家で暮らすことになったのです。

それから数ヶ月、かけるは少しずつ笑顔を取り戻していきました。ある日、かけるが私に言いました。

「ばあば、僕、ばあばの子供になってもいい?」

私はかけるを抱きしめて、涙が止まりませんでした。

「かける、あなたは最初から私の子供よ。ずっと、これからも」

かけるの笑顔が、その日一番の太陽の光のように輝いていました。私はこの小さな命を守り抜いたことに、深い喜びを感じていました。

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