ワールドカップ決勝トーナメントで行われたイングランド対メキシコは、まさに「神回」と呼ぶにふさわしい大乱戦となった。序盤はイングランドが圧倒する展開だったが、メキシコが粘り強く反撃し、退場、PK、終盤の猛攻まで、90分を通して息をつく暇もない試合となった。

試合が大きく動いたのは36分だった。サカの鋭いパスを受けたベリンガムが冷静にゴールを決め、イングランドが先制。さらにそのわずか1分後、再びベリンガムがネットを揺らし、イングランドは一気に2-0とリードを広げた。この時点では、多くのファンがイングランドの快勝を予想したはずだ。
しかし、メキシコは簡単には崩れなかった。41分、素早いカウンターから1点を返し、スコアは2-1。流れは一気に変わり、スタジアムの空気も緊迫感を増した。
後半53分、試合はさらに混乱する。イングランドのクアンサーがレッドカードを受け、チームは10人で戦うことになった。数的優位を得たメキシコは攻勢を強め、イングランドは守備に追われる苦しい展開へと追い込まれた。
それでも59分、イングランドはケインがPKを成功させ、3-1と再び突き放す。だが、メキシコも諦めない。68分にPKを決め、3-2。残り時間は完全にメキシコの猛攻となり、イングランドは耐えるしかない状況に追い込まれた。
この試合が「カオス」と呼ばれる理由は、単にゴールが多かったからではない。流れが何度も入れ替わり、退場によって戦術が崩れ、PKが試合の空気を何度も変えたからだ。イングランドは華麗に勝ったわけではない。むしろ、最後は必死に耐え抜いた勝利だった。
メキシコは敗れたものの、最後まで相手を追い詰める闘志を見せた。一方のイングランドは、10人になっても勝ち切る勝負強さを証明した。ベリンガムの爆発力、ケインの冷静さ、そしてチーム全体の粘り。この試合は、今大会でも屈指のドラマとして語り継がれるだろう。


