「お前はもう首だ。来月から俺の息子が代わりに働く」 新社長の清光が、薄笑いを浮かべながら私にそう宣告したのは、就任してから半年後のことだった。業績が上がらないのは、私を含む社員のせいだと毎日のように怒鳴られてきた。それでも私は必死で新作を企画していたのに、新社長は私の説明を一切聞こうとしなかった。 「言い訳は聞き飽きた。お前みたいな役立たずは、いらないんだよ」…

「お前はもう首だ。来月から俺の息子が代わりに働く」 新社長の清光が、薄笑いを浮かべながら私にそう宣告したのは、就任してから半年後のことだった。業績が上がらないのは、私を含む社員のせいだと毎日のように怒鳴られてきた。それでも私は必死で新作を企画していたのに、新社長は私の説明を一切聞こうとしなかった。 「言い訳は聞き飽きた。お前みたいな役立たずは、いらないんだよ」...

「お前は、もうやめていいよ。要するに首だ。」

新社長の清光は、薄笑いを浮かべながら、そう言い放った。俺、谷林友は45歳。このゲーム会社で人気パズルゲームシリーズの開発を手がけてきた。新社長が就任してから半年、業績が上がらないのは俺たち社員のせいだと、毎日のように罵声を浴びせられてきた。

「待ってください。私は新作を新たな看板商品にしたくて、新しいアイデアを出して制作を進めているんです。発売予定日までまだ半年以上あります。シリーズは人気だからこそ真似されるようになってきていて、だからこそ―」

「言い訳は聞き飽きた。君ももう若くないし、早々アイデアも出ないだろう。来月からは俺の息子がお前の代わりに働く。俺の息子はゲームに詳しい。この会社には、息子のような若い人材が必要なんだよ。お前みたいな役立たずは、いらないんだ」

清光は机の上に封筒を放り出した。中には退職の手続きと書かれた書類が入っていた。よく見ておけと、面白そうに笑う。なるほど。わざわざ書類まで用意して、俺を呼びつけたのか。俺はこの半年、どれだけ必死に働いてきたと思っているんだ。

「わかりました。お望み通り、こんな会社やめてやります。後悔しても知りませんよ」

そう言って会社を辞めた。だが、それで終わりじゃなかった。俺に付いてきてくれると言った数人の仲間と、俺はすぐに新しいゲーム会社を立ち上げた。マンションの一室という小さな会社だった。そして、開発を続けていた新作パズルゲームを発売した。

それから半年後。新作は大ヒットした。ニュースでは「才能溢れる新社長」と取り上げられ、会社は一躍有名になった。そんなある日、清光から電話がかかってきた。

「おい、お前、俺の会社の人気パズルシリーズのタイトルを盗んだな」

盗んだ? 俺は冷笑を浮かべた。清光は何も分かっていない。

「おかしいですね。確かあれは、うちの会社のものですよ。社長なのに、ご存知ないんですか?」

「はあ? お前、何を言っているんだ?」

「あの人気シリーズの権利は、私のものですよ。私は学生の頃にこのゲームを制作していました。それに目を留めて声をかけてくれた前社長のおかげで、発売に至ったんです。その際、売上の利益は会社のものとして譲りましたが、ゲームの権利だけは、私が保持し続けてきたんです」

「そんなこと、前社長は何も言っていなかったぞ!」

「それはいちいち説明しなくても、分かることでしょう? 社長は売上の数字ばかりを見ていたんですね。呆れた社長だ」

「じゃあ、お前が本当に―」

「おかげさまで、我が社の新作は大ヒットしていますよ。後悔しても、もう遅いですよ」

電話の向こうで言葉を失う清光。俺は用があるのはそれだけだと電話を切ろうとした。すると、清光は手のひらを返したように言った。

「おい、良かったら、またうちの会社で働かないか? 部長にしてやってもいいぞ」

「はあ? やっぱり、どうかしてますね。あなたが俺を首にしたんでしょ?」

「実はな、お前が辞めてから、次々と社員が辞めてしまったんだ。もう会社はめちゃくちゃだ。お前が戻ってきてくれたら、業績も立て直せる」

「お断りです。もう切りますよ」

俺は呆れ果てて、電話を切った。勝手なことばかり言うやつだった。今まで言えなかったことを言えて、なんだかすっきりした。

その後、以前の会社の同僚に連絡を取ると、清光の息子はゲームが好きなだけで、作る能力はゼロで、やろうという根気もなく、社員の不満は溜まる一方で、みんな辞めていくばかりだと言う。

それからさらに1年後。清光の会社は倒産した。多額の借金を抱え、親子で自宅を売却する羽目になったという噂を聞いた。

一方、俺の会社は順調に成長し、新作ゲームは海外でも発売され、累計利益は10億を超えた。後輩が嬉しそうに報告に来る。

「社長、あの時、社長が俺を誘ってくれなかったら、どうなっていたことやら。運命ってやつですかね」

「お前、あの時、泣きそうだっただろう? だから誘ったんだよ」

「え、そうでしたっけ? 俺、泣いてなんか―」

「冗談だよ」

あのギスギスした会社を思い出しただけで、嫌な気持ちになる。だが、あの時に思い切って辞めて、仲間たちと今の会社を立ち上げて、本当に良かったと思う。俺はやはり、ゲームが大好きだ。これからも、この仲間たちと、ゲームを作り続けていきたい。

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