同窓会のホテルで、俺はベニと再会した。中学の頃、母子家庭の俺を笑い者にした和田は、今も金持ちの傲慢な態度のままだ。俺はというと、昼は百貨店の清掃員、夜は必死に勉強して資格を取り、今ではその百貨店の副社長まで上り詰めた。しかし、そのことは誰も知らない。
俺のことを貧乏で底辺だと嘲る和田。すると、俺を気にしていたベニが突然、俺の手を取って言ったのだ。
「じゃあ2人で抜け出そっか、別君。」
和田の侮辱に動じず、俺をエスコートするようにホテルを出るベニ。雨が降りしきる中、俺たちは雨宿りをした。そこで初めて見たんだ。彼女の首元に大きな火傷の痕があることを。
ベニは震える声で語った。去年の夏、母が倒れたとき、彼女と一緒にいたことは知っていた。しかし、火傷の痕は母を助けようとした際に負ったものだった。彼女は、その傷を恥じて、誰とも会わずにいた。そして、学校を卒業した後も、この傷のせいで人目を避け続けていたのだ。
俺は言った。「小林、それで俺が君を嫌ったりなんかしないよ。俺が知ってる小林は優しくて強くてみんなを笑顔にする人だ。」
するとベニが泣きながら言った。「別君、実は私もずっとあなたのことが好きだった。中学の時から、私の初恋だった。」
二人の想いは通じ合い、俺たちは付き合うことになった。しかし、ベニは傷痕が原因で、人目につく場所でのデートを避けるようになる。彼女は自分が原因で母が倒れたと自責していた。
俺はそんなベニを思う存分楽しませたいと、深夜の百貨店を貸し切ってプレゼントを贈った。初めて自分の傷を忘れて笑うベニ。しかし、そこに現れた和田が、ベニの傷跡を見て「化け物」と嘲笑したのだ。
俺の怒りは頂点に達したが、その時、百貨店の店長が現れ、和田にこう言い放った。「君は別府君が誰だと思っている?彼はこの百貨店の副社長だぞ。」
和田は驚愕した。俺は和田に言った。「君の会社の出展契約は明日付けで解除する。」和田は必死に懇願したが、もう遅い。店長は「SNSで公表する」とまで告げた。
その後、和田の会社は存続の危機に陥るが、これを機に考えを改めたらしい。俺たちは条件付きで取引を再開し、和田は謙虚な人間に変わった。そして、和田と和解した後、俺たちは母親の墓参りに行き、俺はベニにある秘密を打ち明けた。
実は、ベニの母が倒れた時、俺はずっと病院の医療費を匿名で援助していたことを。ベニのお母さんは、そのおかげで治療を受けられたと感謝されていた。
俺はベニに、お母さんの最後の言葉を伝えた。「ベニのことを誇りに思っている。幸せになって欲しい。」そして、「傷を治すことは、お母さんへの愛を否定することじゃない。自分を愛することが、お母さんへの最高の恩返しになるんだ」と伝えた。
その言葉でベニは治療を受けることを決意し、手術は成功した。春の日の病院の庭で、ベニは晴れやかな笑顔で言った。「私決めたの。お母さんの分まで思いっきり人生を楽しむって。」
俺たちはこれからも一緒に歩んでいく。



