結婚式当日、私は純白のウェディングドレスに身を包み、人生で最も幸せな瞬間を迎えようとしていた。しかし、祭壇の前で婚約者の大森大地が放った言葉は、私の世界を一瞬で粉々にした。「悪いが、お前との結婚式は中止だ。届けも出すつもりはないからな。」彼の隣には、勝ち誇った笑みを浮かべる妹・明りの姿があった。私は声を震わせて問いかけた。「どういうこと?今日は一生に一度の私たちの門出の日よ。」大地は鼻で笑い、私の絶望を楽しむかのように続けた。「言葉通りの意味だ。地味な事務職のお前より、若くて華のある明りの方が、時期社長の妻にふさわしい。」明りも隠しきれない优越感を顔全体に浮かべ、私を見下した。「お姉ちゃん、お疲れ様。今日から私が大森の社長夫人よ。お姉ちゃんは一生惨めに独身を貫けばいいじゃない。」
私は日の出美和。ごく普通の会社員として、事務職をしながら平穏な日々を送っていた。ある日の夕暮れ時、駅裏の路地で柄の悪い不良グループに囲まれている男性を見つけた。高級そうなスーツを着たその男性は、震える声で命乞いをして、今にも殴られそうだった。私は反射的に交番へ駆け込み、巡査を連れて現場へ向かった。警察の姿を見た不良たちは、雲の子を散らすように逃げていった。路地に一人へたり込んでいたのが、後に私の婚約者となる大森大地だった。「助けてくれてありがとうございます。本当に助かりました。」情けない顔で涙を浮かべる彼を見て、放っておけない気持ちが芽生えた。
大地はそれからというもの、私に対して猛烈なアプローチを繰り返した。「美和さん、あなたのような勇敢で優しい女性は他にいない。僕と付き合ってくれ。」あまりの熱意に押され、私は彼と結婚前提の交際をスタートさせた。付き合ってから知ったが、彼は大手企業である大森商事の御曹司だった。創業者一族の後継として、将来は時期社長の座が約束されている立場らしい。「美和さんを最高の社長夫人にしてみせるよ。」彼は甘い言葉を並べ、私を大切に扱ってくれているように思えた。やがて彼のご両親に紹介されると、私の真面目な性格を非常に気に入ってくれる。大地の父である敬さんは特に私を高く評価してくれた。「大地にはもったいない。是非うちの嫁に来てほしい。」社長であるお父様に歓迎され、トントン拍子に結婚の話が進んだ。私は幸せの絶頂にいるのだと、この時はまだ信じて疑わなかった。
しかし、順調に結婚への階段を登っているはずの私には、一つだけ拭えない懸念事項があった。それは実の妹である日の出明りの存在だ。明りは幼い頃から、私が大切にしているものを何でも欲しがる歪んだ執着を持っていた。お気に入りのおもちゃから始まり、成長するにつれてその対象は異性へと変わっていく。学生時代、私はクラスメイトの男子に密かな恋心を抱き続けていた。内気な性格が災いして、自分から声をかけることができず、ただ遠くから見つめる日々だった。そんな私の様子を敏感に察した明りは、優しそうな笑みを浮かべて近づいてきた。「お姉ちゃん、協力してあげるよ。私、彼の連絡先を知ってるんだ。」私はその申し出を純粋に信じ、自分の正直な気持ちを妹に打ち明けてしまう。しかし数日後に目にした光景は、彼と親しげに腕を組んで歩く明りの姿だった。私はまたしても、大切なものを妹に奪われたのだ。
結婚式の乱場で、私は二人の裏切りに打ちのめされた。しかし、彼らはまだ気づいていない。この略奪が自分たちを破滅へと導く地獄の入り口であることに。私は涙を拭い、静かに決意を固めた。これまで優しくされ続けてきた私が、初めて復讐の刃を研ぎ始めた瞬間だった。二人が私に与えた屈辱を、私は決して忘れない。



