「先生、あなたの娘さん、どこかで見たと思ったら、あの時の玲子先生の目です」長谷川看護師の言葉に、私は壁に手をついたまま動けなかった。15年前、研究データの最後のページを切り取り、私の人生ごと消えた婚約者、霧島玲子。憎しみを抱えて地方の病院に逃げ込んだ私は、まさか彼女が今、手術のための特別チームとして戻ってくるとは思わなかったしそして、14歳の娘、沙紀が、まるで私の目を見るようにじっと私を見上…

「先生、あなたの娘さん、どこかで見たと思ったら、あの時の玲子先生の目です」長谷川看護師の言葉に、私は壁に手をついたまま動けなかった。15年前、研究データの最後のページを切り取り、私の人生ごと消えた婚約者、霧島玲子。憎しみを抱えて地方の病院に逃げ込んだ私は、まさか彼女が今、手術のための特別チームとして戻ってくるとは思わなかったしそして、14歳の娘、沙紀が、まるで私の目を見るようにじっと私を見上...

窓の外では小雨が降っている。午前1時を少し過ぎたところだ。今日は3件の手術を終えたばかり。長谷川看護師が苦笑いしながら、湯気の立つお茶を置いてくれた。「先生、少しお休みになってください」私の名前は岡本ハト。43歳。地方都市の総合病院で心臓外科を担当している。かつては大学病院で将来を約束された男だった。だが、それは15年前の話だ。今は地域医療がすべて。町の人々の命を預かっている。机の引き出しを開けたのは、ほんの気まぐれだった。古いペンを探すつもりだけだった。指が、奥にしまわれた古いノートに触れて止まった。決して忘れていたわけじゃない。表紙の角は擦り切れていた。「寝床術研究記録」と、自分の筆跡で書かれている。ページをめくると、あの日の興奮が紙の上に残っている。そして最後のページで、息を呑んだ。そこだけが切り取られていた。論理的で、不合理な、逃げ方だった。15年経っても、切り口の残りがまだ私を責めている気がした。「まだ起きていらっしゃいますか、先生?」長谷川がドアの隙間から顔を覗かせた。ノートを閉じた。「ああ、古い物の整理をしてただけだ。もうすぐ休むよ」「無理なさらないでくださいね。先生が倒れたら、この病院が回らなくなりますから」ドアが閉まった。ノートを引き出しの奥に押し込んだ。「今さら、あの女を思い出すことに何の意味がある」そう呟いて、電気を消した。それでも、15年前のあの女の後ろ姿が、瞼の裏に浮かんだ。玲子。霧島玲子。かつての婚約者。私の全てを持ち去り、消えた女。15年前、玲子と私は、東京の大学病院で心臓外科チームの一員として、同じ研究テーマに取り組んでいた。全患者のための新しい寝床術。当時、まだ世界中のどこにも完成されていない技術だった。実験室で、玲子がデータを覗き込んでいた。「このカーブの取り方、もう一度シミュレーションしたいんだけど」「いいよ。一晩かかるけど」「いつものことね」悪戯っぽく微笑んで、彼女はそう言った。私たちが一緒に辿り着いた結論は、世界の医療を変える可能性を秘めていた。学会発表は3ヶ月後と決まっていた。私たちは婚約していた。すでに両家の挨拶も済ませ、結婚式場も予約してあった。「純粋無垢」という言葉が、これほど似合う二人はいなかった。同僚たちは私たちを天才カップルと囃し立てた。鈴木教授も微笑みながら、私たちの研究はこの教室の誇りだと言って、肩を叩いてくれた。あの時の笑顔の裏に何があったのか、当時の私には知る由もなかった。発表の2週間前、玲子はいつもの時間になっても実験室に現れなかった。電話も繋がらない。アパートはもぬけの殻だった。机の上から、一緒に作り上げた研究データのコピーが全て消えていた。一緒に書き綴ったノートの最後のページも、切り取られていた。そして1週間後、別の大学から臨時ニュースが飛び込んできた。霧島玲子氏の新技術の発表。私の名前はどこにもなかった。共同研究者の欄にも、謝辞の欄にも。鈴木教授に詰め寄った。「岡本くん、何か勘違いをしているようだね。霧島さんが主たる研究者だ。君は、ただの助手だった」その言葉で、全てが終わった。ノートとデータの大半は、玲子の筆跡で書かれていた。私が共同研究者だという証拠は、何ひとつ残っていなかった。他の科では、私は妬みから玲子を訴えた男になった。半年後、私は大学病院を辞めた。地方の病院へ逃げ込んだ。彼女の行方は、誰も知らなかった।学会に姿を現わすことも、二度となかった。残ったのは、最後のページが切り取られたノート一枚だけだった。あの朝、心臓発作の患者の処置を終えると、長谷川が走ってきた。「救急からです。教授。正志・原田さん、60歳です。心臓が限界のようです。画像はもうモニターに出ています」その人物のカルテに、大学病院の事務局に勤めていた経歴が記されていた。聞き覚えのある名前だった。原田。15年前、あの混乱の日々に、病院の廊下で何度かすれ違った事務職員だと思った。その男が、ICUのベッドに横たわっていた。顔色は青白いが、目は妙に生気があった。私の顔を見るなり、原田はかすかに微笑んだように見えた。「岡本先生ですか?人生とは分からないものですね。こんな形で再会するとは」「しばらくぶりです」「今は、治療に専念してください。後で、いくらでもお話を伺いますから」原田の心臓の状態は、想像以上に悪かった。通常の手術では助けられない。だが、ある特殊な術式を組み合わせれば、わずかな可能性があった。私の頭に浮かんだのは、15年前に完成する一歩手前で途切れた、あの寝床術だった。その夜、緊急の症例検討会議が開かれた。病院の空気は、異様に張り詰めていた。「この厚労省の推奨症例は、うちだけでは手に負えません。県の心血管センターから、特別チームが派遣されます」「担当者は、明日こちらに到着します」「誰ですか?」「国内の心臓外科からです。岡本先生もご存知の名前だと思いますよ」「霧島玲子先生です」部屋の空気が、急に遠くなった。ペンを握る指が、わずかに震えていた。翌朝、彼女はロビーに現れた。黒いコートに白いストール。髪は、15年前と変わらず、きっちりと結い上げられていた。だが、目の周りには深い疲労の影があった。「岡本先生、本日はお時間をいただきありがとうございます」それは形式的な挨拶だった。「患者さんは、原田さんですね。状態は重篤ですが、我々にできる限りのことはいたします」そう言うだけで、喉の奥が焼けるように熱くなった。その時、玲子の後ろから、制服姿の少女がためらいながら現れた。中学生だろうか。目が、今にも張り裂けそうだった。「お母さん、待合室にいるね」「ええ、すぐに済むわ」「お子さんですか?」「ええ、娘の沙紀です。挨拶なさい」「霧島沙紀です。14歳です。はじめまして」沙紀は私の顔をじっと見上げた。その目は、何かを求めるように私を見ていた。私は本能的に視線を逸らした。長谷川が、玲子と私を何度も見比べていた。何かを感づいたような表情だった。私は咳払いをして、話を仕事に戻した。「では、手術の打ち合わせを10時から始めます。長谷川さん、会議室の準備をお願いします」「はい」廊下を歩きながら、私は自分に言い聞かせていた。「これは仕事だ。ただの仕事だ。15年前の話は、もう終わったんだ」それなのに、引き出しの奥に押し込んだあのノートが、頭から離れなかった。最後のページは、切り取られていた。確かに玲子が切り取ったのだ。ならば、なぜ今になって、彼女は再びここに現れたのか?窓の外では、昨夜の雨が上がり、かすかな陽の光が差し始めていた。打ち合わせは、驚くほど静かに進んだ。玲子は淡々と画像データを説明した。余計な感情を、声に混ぜようとはしなかった。私は書類の束に目を落としたままだった。顔を上げれば、彼女の目と合ってしまうと思ったからだ。それは御免だったので、ただペン先だけを追っていた。だが、彼女の声は聞こえてくる。「術式の組み合わせについて、岡本先生のご意見も伺いたいのですが」「原田さんの覚醒後の状態は、通常の再建では持ちこたえられないでしょう」「では、もう一度シミュレーションをやり直します」「明日の朝までに、提案書を提出します」「ありがとうございます」それだけが、私たちの全ての会話だった。あの日から、玲子と私は、毎日同じテーブルに座った。朝の回診、午後の画像解析、夕方の省令の確認。気が付けば、15年の空白などなかったかのように、私たちの手は同じ設計図の上を動いていた。私たちはお互いにほとんど口を利かなかったが、術式の選び方、数字の読み方は、不気味なほど一致していた。沙紀は、毎日学校帰りに病院に立ち寄った。待合室で本を読みながら、母の仕事が終わるのを待っていた。私が声をかけると、彼女は丁寧に会釈をした。中学生にしては、しっかりした娘だった。ある夕方、飲料の自動販売機の前で、沙紀と二人きりになった。「先生、昔、私のお母さんと知り合いだったんですよね?」「お母さんが先生の話をする時、少し顔つきが変わります」「ああ、そうか?昔、同じ病院で働いていました」「難しい研究を一緒にやっていました」「先生、優しい声をなさいますね」「何だか、お母さんと似ている気がします」何と答えたら良かったのだろう。昨日聞いたあの言葉が、喉から出てくることはなかった。長谷川が遠くから、私たちの様子を眺めていた。「先生、あの娘さんの目は、どなたかに似ていますね」「気のせいですよ」「そうかもしれませんね」そう言いながらも、長谷川の目は確信に満ちていた。原田の容態は、薬でどうにか持ちこたえている状態だった。だが、時間は限られていた。手術までの数日が、私たち全員にとっての正念場だった。あの夜、私は一人で原田の病室を訪ねた。

原田はベッドの上で体を起こし、私の顔をじっと見上げた。「岡本先生、ひとつお聞きしてもいいですか?」「ええ、何でしょう」「先生は、15年前のあの話を、ご自身で調べたことはありますか?」「今さら調べて、何になるんです?もう終わった話です」「まだ、終わってませんよ」「少なくとも、私の心の中では」私は思わず、ベッドの脇に腰を下ろした。原田は、途切れ途切れに話し始めた。「あの時、他学部から流れていた金に、おかしな点がありました」「事務方の一人として、私はそれを目にしていました」「研究費という名目で動いていた金が、ある教授の口座に流れ込んでいたんです」「誰のことですか?」「鈴木一成教授です」その名を聞いた瞬間、私は心臓が止まるかと思った。私の人生を暗転に突き落とした男だった。「先生、もし調べるなら、今ですよ」「私の心臓は、そう長くはもちません」「聞けるうちに、聞いておいてください」「わかりました」「少し時間をください」病室を出ると、廊下の突き当たりに玲子が立っていた。窓の外を見つめている。「玲子さん、少しお話しできませんか?」「手術のことでしたら」「いいえ、15年前の話です」彼女の表情が、一瞬で険しくなった。「岡本先生、私が今、考えたいのは、患者さんのことだけです」「他のことは、ご遠慮ください」「あなたは、今も逃げているんですか?」「逃げてなんかいません」「私は、話せないんです」「それを、信じてください」そう言い残して、彼女は私の脇をすり抜けて行った。あの夜、私はもう一度、原田の病室を訪ねた。今度は、最初から全てを聞く覚悟で。「鈴木教授は、当初から、岡本先生の研究の価値に目をつけていました」「学会発表の三ヶ月前”“教授は霧島先生を、教授室に呼びました「そこで、彼女にこう命じたんです」「お前の名前だけで、発表させろ」「そうしなければ、岡本の人生を潰すぞ」と私は息を呑んだ。原田の声は、静かだった。だが、その一言一言が、私の胸の奥深くに突き刺さった。「霧島先生は、岡本先生を守るために、自ら悪者になる道を選んだんです」「岡本先生に迷惑がかからないよう、データと共に姿を消した」「なぜ、あの時、教えてくれなかったんだ?」「そうしてくれていれば、私は教授に立ち向かえたのに」「そうしていれば、霧島先生の決意が、全て無駄になっていました」頭の中で、何かが大きな音を立てて崩れ落ちた。15年間、玲子に向けてきた憎悪が。私は廊下へ出て、壁に手をついた。向かいの廊下を、沙紀が長谷川と並んで歩いていた。長谷川が何か優しく話しかけると、沙紀は柔らかく微笑んで、頷いた。その横顔を見て、私は立ちすくんだ。14歳の少女が消えたのは、15年前。指を折って数えた。沙紀が生まれたのは、玲子が姿を消してから、半年も経たないうちのはずだ。「まさか」という声と「やはり」という声が、同時に胸に込み上げてきた。私は壁に手をついたまま、しばらく動けなかった。「先生、顔色が青いですよ」戻ってきた長谷川が、心配そうに駆け寄ってきた。「少しお休みになってください」「長谷川さん、彼女が、自分の父親の話をしたことはありますか?」「いいえ、一度も」「ただ、お母さんには大切な人がいるって、それだけは言っていました」長谷川は、何かを察したように、口を噤んだ。私はその場で、深く息を吐いた。窓の外には、かすかな月が昇っていたし明日から、原田の手術の検討が始まる。私は再び、玲子と共にメスを持つことになる。それまでに、確かめなければならないことが、あまりにも多すぎた。だが、時間は残されていなかった。翌朝、私はいつもより早く病院に着いた。原田の病室の前で、深呼吸をした。昨夜、私は決心をしていた。全てを聞く。もう逃げないし、全てを聞く。「原田さん、お願いします」「全部、聞かせてください」原田は静かに目を閉じ、15年前のことを語り始めた。「鈴木教授は、誰よりも早く、あの研究の価値に気づいていました」「学会発表の三ヶ月前」「教授は霧島先生を、教授室に呼びました」「そこで、こう命じたんです」「お前の名前だけで、発表させろ」「そうしなければ、岡本の人生を潰すぞ」と「教授は、その場で拒否したようです」「岡本先生との共同研究だと言って」「すると教授は、今度は岡本先生の医師免許の話を持ち出したそうです」「私の免許を、人質に取ったというのか?」「ええ、玲子先生はそう言っていました」「あの方は、医学界にそれだけの影響力があったんです」「一晩考えた末、玲子先生は、ある結論に達しました」「自分が、研究データと共に姿を消す」「表向きは、自分が単独の発表者だったことにする」「そうすれば、私に累が及ぶことはない」「私は、裏切られた共同研究者として、どこかで自分の道を続けていける」「そして、もう一つ」「霧島先生が、どうしても姿を消さなければならなかった理由がありました」「それは、あの時、霧島先生はすでに、岡本先生の子を身ごもっていたからです」時が止まったかと思った。「このことは、私にだけ打ち明けてくれました」「この子を、巻き込みたくなかった」「ハトさんに、私のせいで未來を諦めてほしくなかった」「今でも、15年前のあの目の表情を、忘れることができません」私は両手で顔を覆った。原田はそれ以上何も言わなかったしただ、痩せた手で、私の腕をそっと撫でてくれた。廊下に出ると、長谷川が立っていたし何も尋ねずに、彼女は私にハンカチを差し出した。「先生、少し顔を洗ってきてください」「はい」「ありがとうございます」「あの時、私、あの娘さんにお会いした時から、なぜか胸が騒いでいたんです」「今なら、わかる気がします」長谷川の目に、涙が滲んでいたし「あの日の午後、玲子が、私の研究室のドアをノックした」「彼女の手には、古い封筒があった」「岡本先生、これを、あなたにお渡ししたくて」「どうぞお入りください」彼女は机の上に封筒を置いた出てきたのは、古いノートの一枚だったし震える指で、それを広げたしそこに書かれていたのは、研究データではなかったし玲子の筆跡で書かれた、一通の手紙だったし「ハトさんへ」「私を、許してください」「あなたを守るために、私が考えついた、唯一の方法がこれでした」「私は、あなたを裏切ってなんかいません」「あなたの未來を、消したくなかった」「いつか、きっと、いつか」「すべてを話せる日が来ると思います」「その日まで、どうか、メスを置かないでください」「あなたの手は、多くの人の命を救う手です」涙が、溢れ出したし顔を上げると、玲子が窓の外を見ながら立っていたし彼女の背中が、かすかに震えていたし「なぜ、今まで黙っていたんだ?」「あなたが、田舎で人として立ち直ったと聞いて、それで十分だと思っていました」「今さら姿を現して、あなたの人生を亂す資格は、私にはありません」「あの娘は、あなたの娘です」その言葉を、私はずっと待っていた気がしたし玲子は、ゆっくりと振り返ったしその目は、赤く腫れていたし「ずっと、いつか父に会いたいと思っていました」「でも、その勇気が出ませんでした」「ハトさんが、私を許してくれるとは、思えませんでしたから」「私の方こそ、間違っていました」「あなたを、15年間恨んでいました」「あなたを、信じることができませんでした」「ごめんなさい」玲子の頬を、一粒の涙が伝ったしもう、言葉は必要なかったし原田の手術の日が来たし朝の空は、澄み渡っていたし手術室に入る前、廊下で、玲子と私は目を合わせたし私たちは何も言わなかったしただ、一度だけ、深く頷き合ったし手術は、六時間に及んだし15年前に、あと一歩で完成するはずだった寝床術し玲子と私は、15年の月日などなかったかのように、手を動かしたし全ては、あの実験室の夜の続きだったし心臓が再び動き出した瞬間、玲子はマスクの内側で、かすかに息を漏らしたし無影灯の下で、二つの影が、一つに重なったし原田は、無事にICUへ運ばれたし命は、救われたし退院の日、原田は車椅子から私たちを見上げ、かすかに微笑んだし「先生方、15年越しの手術を、目撃することができました」「どうやら、私の心臓も、もう少しだけ働いてくれそうです」「原田さん、あなたが話してくれなければ、私は何も知らないままでした」「本当に、ありがとうございました」「いいえ、これで、あの世で、心置きなく腹を割って話せます」沙紀は、入口のロビーで待っていたし私は彼女の前で、ゆっくりと膝を折ったし目線を合わせたし「沙紀さん、今までお父さんに会えなくて、寂しかったでしょう」「本当に、ごめんなさい」「これからは、少しずつでいいから」「私のことを、知ってもらえますか?」「先生が、お父さんですか?」「ああ、そうだ」「やっと、14年の時を経て、向き合えるようになった父です」沙紀の目に、涙が溢れ出したし「お父さん」長谷川が、口元を手で覆ったし玲子は、少し離れた場所から、静かに私たちを見つめていたし夕方、私は玲子の隣に立って、病院の屋上にいたし夕日が、町の屋根を赤く染めていたし「玲子さん」「失った時間は、戻せない」「だが、これからは、家族として、一緒に歩いていけないだろうか?」「本当に、いいんですか?」「私の方こそ、お願いしたいんだ」「もう一度、家族にさせてほしい」玲子は、何も言わずに、静かに頷いたし風が、彼女の髪を揺らした。

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