「よし、これからは私がここで暮らすわ。」…
ようやく手に入れた。私が憧れ続けた海辺の別荘。訳あり物件だったけれど、格安で購入できた。これから家族でここを楽しむはずだった。だが、別荘の扉を開けた瞬間、一緒についてきた義母が言った。 「よし、これからは私がここで暮らすわ。」 え、と思った。義母は最初からここに住むつもりで私たちについてきたのだ。 「別荘としてたまに使うだけじゃもったいないでしょ。だから私の新居として使わせてもらおうと思ってね。実は家も売ったのよ。」 義母はすでに実家を売り払っていた。私は困惑して夫を見た。 「ねえ、直彦。あなた、この話を知ってたの?」 夫は気まずそうに目をそらした。そして観念したように白状した。 「ごめん。実は知ってた。でも言ったらお前が別荘の購入をやめると思ったんだ。」 なんて夫だ。義母が別荘に移り住むことを知りながら、黙って私に買わせたのだ。私は怒りで震えたが、逆に冷静になった。 「ちょっと、私がここに住むことに文句でもあるっていうの?」 義母が機嫌を損ねる。すると直彦が慌てて言った。 「母さんはな、ここに移り住んで管理してくれるって言うんだぞ。むしろ感謝しろよ。」 夫はあっさり私を裏切った。だが、それに対して私はニヤリと笑った。 「本当にお母さんがこの別荘を管理してくれるんですか?」 「ええ、そうよ。」 「やった。最高です。」 私は二人の予想に反して大喜びした。夫も義母も満足そうに微笑んだ。そう、これが私の計画だったのだ。 私は坂ミク。つい先日、直彦と結婚したばかりの新婚だ。二年間交際して、ようやく結婚した。これから始まる新婚生活に期待を抱いていた。だが、初日からその期待は裏切られた。 結婚初日から義母の信ぶ子が私たちのマンションに押しかけてきたのだ。 「新婚生活はどう?何か不便はない?」 いきなり新婚初日から押しかけてくるとは、常識のない義母だと思った。だが、直彦は異常なほど義母と仲が良く、義母を迎え入れた。 「まあ、入ってよ。せっかく来たんだからゆっくりしていけばいいさ。」 その言葉通り、義母は我が家でゆっくり過ごし、そのまま泊まっていくことになった。新婚初日なのに。 しかも、私が直彦と寝室を共にしようとすると、義母が激怒した。 「ちょっと、私を一人にするつもり?」 義父を亡くして以来、義母と直彦は二人だけの暮らしが当たり前になっていた。 「泊まりに来た時ぐらい、息子と一緒に過ごさせてよ。」 直彦は義母の言いなりで、結局私は寝室を義母に譲ることになった。別室に用意された布団を被りながら、私は思った。新婚なのに、私がこんな目に遭うなんて。 翌日、義母が帰った後、私は直彦に不満を漏らした。 「あなたね、親を大事にするのはいいけど、新婚初日から泊めることはないんじゃないの?うまく理由をつけて帰らせて欲しかったわ。」 だが直彦は「こういう家族なんだし、別にいいだろう」と相手にしてくれなかった。それどころか、直彦は義母に私の文句を告げ口したのだ。 「ミクが母さんが泊まっていったことが気に入らないみたいなんだ。母さんの悪口ばかりでうんざりだよ。」 そのせいで後日、義母から遠回しに嫌味を言われてしまった。 「私が泊まっていったことが気に入らなかったの?それならそうとはっきり言えばいいのに。後からこそこそ直彦に文句を言うだなんて生意気ね。」 私は告げ口されたことにショックを受けた。直彦にはもう義母の文句を言えないと思った。 それからも義母は何かと理由をつけて、三日に一度のペースで私たちのマンションを訪れた。 「近くまで来たから遊びに来ちゃった。」 そう言うと、無職で時間に余裕のある義母は我が家でのんびり過ごし、夜ご飯を食べて帰ることもあった。 私はフリーのウェブデザイナーとして活動している。複数の企業や個人を相手に収入を得ているのだ。ある日、私がリモートでクライアントと打ち合わせをしていると、いきなりWi-Fiが途切れた。 「え、もしかして停電?いきなりどうしたの?」 私は慌てて確認すると、ブレーカーの近くに義母がいた。 「お母さん、Wi-Fiが途切れてしまったんですけど、もしかして何かしました?」 すると義母は平然と言った。 「ああ、昼間から電気がもったいないからブレーカーを落としたのよ。」 「お母さん、困りますよ。私は今取引先と大事な打ち合わせをしていたのに。」 私が文句を言いながらブレーカーを戻そうとすると、義母はそれを静止した。 「ちょっと、まさかブレーカーを戻すの?高い場所にあるブレーカーをわざわざ踏み台を使って落としたのに、また戻すつもりなの?」 「当たり前じゃないですか?ブレーカーを戻そうと踏み台に上がる私を義母は邪魔してきた。」 「人の努力を無駄にしないで。」 「私は仕事ができなくて困っているんですよ。そこを避けてもらえますか?」 私と義母の攻防戦はしばらく続いた。なんとか義母を言いくるめてブレーカーを元に戻し、やっとリモートも繋がったが、だいぶ相手を待たせてしまった。 「お待たせいたしました。」 私はクライアントに迷惑をかけたと謝った。しかし、相手は「待たされすぎてイライラしてしまい、迅速なやり取りができない」として、契約を取り消されてしまったのだ。 大事な契約を一つ失った私は、さすがに義母に激怒した。 「お母さん、家に遊びに来るのは構いませんが、私の仕事の邪魔をしないでもらえますか?やっとの思いで契約できたクライアントだったのに。」 … Read more